■船の設計という本業以外で、関わることができたこと

 会社を退職した後も、船の3Dイラストレーションの製作など、船の仕事をしてきましたが、ここまで続けてきたからこそ、船の設計という本業以外で、関わることができたことが2つあります。その1つが、2019年7月公開の映画『アルキメデスの大戦』で製図監修を担当したこと。戦艦大和や戦艦長門、空母などの手描き図面を任されたうえ、主演の俳優・菅田将暉さんが図面を描くシーンでは演技指導もしました。

 今や図面はコンピュータを使うCADが主流になり、大型の艦船図面を手で描ける人が少なくなったので、私に声がかかったようです。ただ、戦艦大和は私が生まれた日の21日後に完成した、いわば同期生(笑)。昔から思い入れが強かっただけに、うれしかったですね。

 もう一つは、2020年9月に初めての著書『日本史サイエンス』を出版したこと。船の技術者ならではの視点から、日本史を科学的に数字を交えて分析した1冊で、蒙古襲来、豊臣秀吉の中国大返し、戦艦大和の謎に迫っています。以前から蒙古襲来に関心があって、あくまでも趣味で、蒙古軍船をCGで設計・復元したり文献を集めて研究していたところ、縁あって講談社のブルーバックスから出版する運びになったんです。

 そういう意味では、これもまた、自分が好きでやっていたことがつながったと言えますね。おかげさまで、池上彰さんの推薦する5冊、岩波文庫の永沼編集長の嫉妬した3冊に選ばれるなど、多くの人たちから好評を得てベストセラーになり、今年5月に『日本史サイエンス<弐>』を上梓することができました。今回は邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦をテーマにしています。

 映画や執筆などの仕事は、長い間、船一筋で生きてきた私に、“船の神様がご褒美をくれた”のではないかと思っています。これからもずっと大好きな船に関わっていきたいですね。

播田安弘(はりた・やすひろ)
1941年、徳島県生まれ。1961年に三井造船に入社後、大型船から特殊船までの基本設計を手がけ、半潜水型水中展望船や日本初の水陸両用バスなど、数多くの船を開発。2011年に退職後、船の3Dイラストレーションを製作する「SHIP 3D Design 播磨屋」を主宰し、2019年7月公開の映画『アルキメデスの大戦』では戦艦の製図監修を担当。2020年9月に出版した『日本史サイエンス』は、船の技術者の視点から歴史を分析した著書と、大きな話題となり、2022年5月には第2弾を発表。累計10万部を超えるベストセラーとなっている。

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