亀田興毅(撮影・弦巻勝)
亀田興毅(撮影・弦巻勝)

 まだ観れてないんですけど、映画『ドリームプラン』の話を最近よく知り合いから聞かされるんです。テニス未経験の父親が2人の娘(セリーナとヴィーナスのウィリアムズ姉妹)を一流のプロ選手に育てるっていう実話を基にしたドラマですよね。みんな言うんです。

「あれ、亀田家も同じことやろ」って。いずれそういう映画ができてもおかしくないんじゃないですか、ネットフリックスとかで。亀田史郎役を(ドリームプランと同じく)ウィル・スミスがやるとかね(笑)。

 世界中で3兄弟全員が世界チャンピオンになった例って1回もない。2人兄弟はいるんです。でも、3兄弟はない。いわば、亀田家は歴史を作ったんです。オヤジには(プロとしての)経験がないのに育てた息子を3人とも世界チャンピオンにした。オヤジは、カリスマありますよ。

 戦った子どもたちもすごいんですけど、レールを敷いて、しっかり乗せて走らせたっていうのが、すごい。事業でもなんでも、レールに乗せるのが難しいじゃないですか。オヤジもプロテストを受ける前までは行ったけど、そのときに自分が生まれてきたんで。やはり仕事と両立させるのは大変や、ということで、プロボクサーになるのを諦めたようですけどね。

 自分は才能なかったですよ。でも、人の3倍は練習しましたよ。普通はロードワークに1時間、ジムで2時間くらいじゃないですか。自分は大げさに言えば24時間練習してました。

 夢の中でも練習してましたよ。夜はみんなで川の字になって寝るじゃないですか。ずっとボクシングのビデオが流れてるんですよ。眠たいなぁ思ったら、「おい興毅、今のパンチすごいなぁ」ってオヤジが(笑)。ウトウトしてるから、「今の右はすごかったぁ」とか適当に言うてたら、一時停止していきなり立ち上がって、「ちょっとジャブ打ってみぃ」って。もう夜中の2時ですよ! そんなのが毎日ですから。

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