大相撲秋場所・“初Ⅴ”逸ノ城 は?元寺尾・錣山親方が解説する「100倍楽しむ!」観戦ガイド「優勝予想から注目力士まで」の画像
錣山親方

 現役時代は「突っ張りの寺尾」として、大型力士相手に果敢に挑む相撲スタイルで、人気を博した寺尾こと、錣山親方。引退後の2004年、錣山部屋を創設し、現在は、小結・阿炎らを厳しく指導している。長年、審判委員も務めた、錣山親方が見る秋場所とは?

■朝青龍の甥・豊昇龍と琴ノ若に注目

――今場所、親方が注目する力士は誰ですか?

錣山(以下、錣)今、若手の有望株はたくさんいますが、今場所、新関脇に昇進した豊昇龍はいいですね。皆さんもご存じのように、叔父さんは元横綱・朝青龍。入門時から注目されて、もちろん私も見ていましたが、土俵上で見せるしぐさが、現役時代の朝青龍そのもの。正直、向こうっ気が強すぎる気もしていたんです。ところが、本人と話をすると、ちゃめっ気たっぷりで、かわいらしい(笑)。相撲のこともよく考えている。そのギャップを知ったことと、23歳という若さも大きな武器だと思いましたね。

 また、今年に入ってから、目に見えて力をつけているのは、琴ノ若(24=前頭2)です。初場所、春場所は連続11勝。先場所も10日目まで、優勝戦線の一角で頑張っていたんですが、部屋でコロナ感染者が出たため、途中休場となってしまったのは、残念でした。実は、琴ノ若のお父さん(佐渡ヶ嶽親方=先代・琴ノ若)は、現役時代、同じ土俵で戦った同士でもあります。大きくて、体が柔らかくて、けっして、やりやすいタイプじゃなかったですけどね(笑)。そんなわけで、私は琴ノ若の子どもの頃から知っていて、学生時代、アマチュアの大会などで会うと、「頑張れよ!」などと、声をかけたりしていたんです。今は、一本筋が通った力士になりました。

■大鵬の孫・王鵬は

――一方、琴ノ若の埼玉栄高の後輩、王鵬(22=前頭13)は、多少、伸び悩んでいるでしょうか。

錣 いいものは持っているんですよ。ただ、まだ体に力がない。王鵬も、おじいちゃん(横綱・大鵬)、お父さん(関脇・貴闘力)ともに力士という血筋で、琴ノ若と初めて対戦したときには、「横綱の孫対決」などと騒がれましたが(琴ノ若の祖父は、横綱・琴櫻)、地道に自分の相撲を見つけていくべきでしょうね。

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