永瀬廉(23)主演の『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系)は、名だたる戦国武将のクローンが15歳の高校生になって名門不良高校に集結し、学園の天下統一を目指して争い合うドラマだ。9月18日放送の第9話は、戦うことの苦しさや悲しみと、心が解放されて手を取り合う喜びに心が震えた。
■永瀬廉の苦しみの芝居が心に刺さる
信長(永瀬廉)が、家康(小澤征悦/48)に旗印を掲げると告げたとき、信長と家康それぞれの苦しい心の中が透けて見えた。家康が信長に「しょせん、おまえも敵か……叩き潰す」と告げたのは、どこかで信長なら自分を変えてくれるのではないかと期待していたからだ。
そんな思いは独りよがりにすぎず、クローンとして生きる宿命、幼少期から抱えてきた苦しみを受け入れるしかない絶望だったのだろう。しかし目の前にいる信長は、悲しみに満ちた表情で真っすぐ家康を見つめているではないか。信長は、戦に興味がない。本当は戦いたくなどないのだ。
悲しみと苦しみに満ちた表情は、本当は戦いたくない本心が見えてくる。そして演じる永瀬は、この“悲しみ”、“苦しみ”を演じるのがとてもうまい。
朝ドラ『おかえりモネ』(NHK総合他)で演じた及川亮も、よく寂しそうな表情をしていた。震災で亡くした妻を想い立ち直れず、酒におぼれる父親を仕方ないと寂しく笑っていた。
また、同級生であるヒロインに決死の告白をしたが、拒絶とも受け取れる冷静な返答をされたときに「俺、そもそも誰かを好きとかそういうの、もういいんだった」と悲しく笑うのだが、あのどうしようもなく悲しくて苦しい顔に心が痛んで今も忘れられない。作品も状況もまったく違うけれど、重苦しさが痛いほどに伝わってくるのだ。