7月期放送の夏ドラマも最終回を迎え、名演を披露して評価を上げた俳優がいた一方で、期待外れだったと評価を下げた俳優もいた。それは、俳優当人の責任ではなく、出演したドラマの違いによる不運な差だった。
残念だったのは月9ドラマ『競争の番人』(フジテレビ系)の杏(36)で、視聴率は全話平均が8.9%(ビデオリサーチ社調べ/関東地区)と、そこそこの数字だったが、演技的な評価は坂口健太郎(31)のほうが高かった。
同ドラマは坂口と杏のダブル主演で、公正取引委員会の凸凹バディという設定だった。しかし、物語は小勝負(坂口健太郎)がメインで展開することが多く、刑事だった白熊(杏)がミスをして、公取委に異動させられた伏線が回収されると、2人が一緒に行動するシーンさえも減ってしまった。
さらに、最終回では、小勝負が愛媛支所に異動したため、坂口と杏が同じ画面に映ることもなかった。そのため、2人のバディ感が乏しく、杏が坂口の添え物のような印象が残った。これは、NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13』にも出演している坂口と、フランス移住を控えた杏との、スケジュール調整が難しかったのかもしれない。