■三船敏郎はスター・ウォーズのオビワン・ケノービ役を
「黒澤明監督作の主演俳優として、その名は海外に轟いていた。それにやはり、三船さんぐらいインパクトのある役者さんだと世界に通用するんです」
海外の監督たちが熱烈なラブコールを送ったのだ。
「なにしろ、ジョージ・ルーカス監督は1作目の『スター・ウォーズ』(77年)で、主人公の師匠のオビワン・ケノービ役に、三船さんを想定していたわけですから」(前出の青井氏)
また、スティーブン・スピルバーグ監督は、『1941』(79年)で敬愛する三船を起用している。
「ただ、三船さんは当時、制作会社、撮影所、芸能プロを兼ねた三船プロを経営しており、あまり日本を留守にできなかった。その事情がなければ、より多くの海外作品に出ていたはずです」(前出の映画雑誌記者)
■海外で高く評価された千葉真一
三船同様、日本での作品が海外で高く評価されたのが、真田広之の師でもある千葉真一である。
「空手アクション映画『激突! 殺人拳』(74年)がアメリカで公開され、コアな映画ファンを中心に受けた。クエンティン・タランティーノ監督が激推しし、キアヌ・リーブスも大好きだとか。千葉さんは“サニー・千葉”として、彼らのスターになったのです」(青井氏)
こうした下地もあり、千葉はハリウッドへの夢を抱き続けた。元マネージャーの村上和義氏(さいしゅ)は、こう振り返る。
「ハリウッド映画で実績のある高倉健さんに、“千葉は世界で活躍できる俳優になれるぞ”と言われたこともありました」
そして千葉は、90年代に、50代で渡米。まずは、『007』シリーズで知られるジョン・グレン監督による『エイセス/大空の誓い』(92年)に出演する。
「戦闘機を描いた『アイアン・イーグル』シリーズの1本で、設定的にちょっとおかしな点も含めて、楽しい娯楽映画でした」(青井氏)
また、タランティーノ監督の『キル・ビルVol.1』(2003年)など、複数作品に出演し“世界的俳優”になる夢をかなえた。
■高倉健も世界を魅了
そんな千葉の背中を押した高倉健は、50代終わりに出演した『ブラック・レイン』(1989年)の刑事役で知られる。
「いかにも日本人然とした雰囲気は、欧米人に受けるんだと思います」(前出の山本氏)
また、中日ドラゴンズに入団した元メジャーリーガーを描いた『ミスター・ベースボール』(92年)では熱血監督を好演。さらに中国映画『単騎、千里を走る。』(2005年)に主演した。
「1976年の主演作『君よ憤怒の河を渉れ』が中国で大ヒットしたことから、健さんの現地での知名度は、絶大なんですよ」(前同)