■鬼気迫る演技でロバート・デニーロと共演話も

 一方、『ブラック・レイン』は、敵役の松田優作も強烈な存在感を示した。

「あの役は、萩原健一さん、根津甚八さんらも参加したとされるオーディションで勝ち取ったものでした」(当時を知る映画スタッフ)

 そして、松田の鬼気迫る演技は、国際的に高く評価されることになる。

「撮影後に優作さんが映画仲間に話したところによると、ロバート・デ・ニーロとの共演話も来ていたそうです。また、日米のスタッフで『遊戯』シリーズをアメリカで撮影する構想もありました」(山本氏)

■渡辺謙はバットマンやゴジラに

 松田の夭折で、それらがいずれも幻に終わったのは残念だが、その彼の夢を実現させているのが渡辺謙(62)である。

「『ラスト サムライ』にはスキンヘッドで出演。ユル・ブリンナーのような雰囲気もあって、欧米で人気が出ました」(山本氏)

 以後、『バットマン ビギンズ』(2005年)、『GODZILA ゴジラ』(14年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19年)など大作に出続けている。

「英語の発音トレーニングは陰で相当積んでいる。出演作が途切れないのは、評価されているからなんです」(前出の在米関係者)

■北欧戦士を演じた浅野忠信

 現在、真田や渡辺に続くのが、最近、『モータルコンバット』(21年)に出演の浅野忠信(48)だ。

「日本の俳優は、どうしても欧米人がイメージする日本人像を求められがちです。その中で浅野さんは『マイティ・ソー』(11年)で北欧神話の戦士を演じました。日本の俳優が、あのように“どこの国の俳優が演じてもいい役”に起用されるケースが増えてきたら、真の世界進出だと言えるでしょう」(青井氏)

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