関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■豪快で面白いおばあの手料理!そこには祖母と孫の深い絆が!!
秋が深まりゆく今日この頃。ふと、祖母の味が恋しくなる。「おばあちゃんのぼた餅、うまかったな」「ぬか漬けが絶品だった」。そんな思い出を胸に抱くあなたなら、新刊『おばあめし おばあと孫の、オモロイ関係。』(清流出版)を読めば、涙腺が決壊してしまうかもしれない。
著者はルポライターの大迫知信さん(38)。「おばあ」こと祖母の文子さん(88)が作る料理を食べ続け、その記録を日々、ブログ『おばあめし 祖母がつくる、孫が食う』に綴っている。
紹介される献立が、どれも見た目にインパクトが強く、「いったい、どんな味なんだ?」「食べてみたい!」と話題になり、ついに書籍化されたのだ。
「おばあのごはんは、とにかくおいしいんです。そして同じ材料で僕が作っても、同じ味にはならない。誰もマネができない味なんです」
おばあの料理は、かなり大胆。揚げずに仕上がる唐揚げ粉でも豪快に揚げ物に使ったり、赤飯にカレーをかけたり。
そんなルール無用の調理魂が最も顕著に表れたのが、おにぎり。きゅうり、ちくわなど、さまざまな食材で顔をデザインする。まるで、おにぎりという名の芸術作品。
「おばあがソーセージで顔のおにぎりをつくったときは、驚きました。ソーセージのシワの部分で人間の目を表現している。細部まで計算されていたんです」
孫を喜ばせたい気持ちがにじみ出る、おばあの料理。彼は、そんなおばあのおかげで「命拾いをした」と語る。
■物書きへの転職をおばあが後押し!
「電力会社に勤務していたんですが、どうしても自分が書く文章で世の中に爪痕を残したくなり、フリーライターになる決心をしました。“安定した大手企業を辞めるなんて”と、周囲からは反対する声が上がりましたが、おばあだけは、“心配するな。ごはんくらい、私が食べさせてやる。好きなように生きてみろ”と励ましてくれたんです」
そうして大迫さんは退職し、文章の勉強のために文芸を教える大学へ進学。2度目の大学生活、卒業後の不安定な仕事を支えてくれたのが、おばあが作る料理だ。
「おばあのごはんがなかったら、路頭に迷っていたかもしれません」
孫のために3度の食事を用意する、おばあ。しかし今年の2月、新型コロナウイルスに感染。高齢者への影響は大きく、陰性となった現在も以前のように台所に立てなくなってしまった。
彼は、そんなおばあのために、代わりに食事を作っている。「おばあめしで育った僕が、“まごめし”で恩返しをする番です」
おばあが再び元気になり、笑顔を描いたおにぎりを作ってくれる日が訪れるよう、祈るばかりだ。
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