俳優・萩原聖人(51)。数多くのドラマ、映画に出演してきた一流俳優の彼が、麻雀のプロ、プロ雀士であることももはや有名だろう。俳優とプロ雀士、一方だけでも難しいプロフェッショナルな仕事を、どちらも全力で臨む「二足の革靴」の精神でこなしている萩原に今回、本サイトは話を聞くことができた。
麻雀のプロリーグ『Mリーグ』、『TEAM RAIDEN/雷電』の一員として5年目を迎えた萩原。苦難のときを経て、50代に突入した「俳優兼Mリーガー」の今の思いとは。そして、2023年の麻雀界、Mリーグの行く先を、萩原はどう見ているのか――。ひとつだけ言えるのは、今の萩原聖人は「カッコイイんです」!(#1~4のうち4)
【「麻雀は見ている人の喜びになるものでなければやっている意味がない」強靭になったメンタルと「勝つこと」で起きること #1に戻る】
■“Mリーガー・萩原聖人”の引退の日とは?
――昨シーズンのオフには「進退」を感じさせるコメントがありましたよね。現在の心境はいかがでしょうか?
「先のことは考えてないですね。そういうつもりでやらないといけないというか。別に僕は来年があると思ってやってきたわけではありません。だから、今年負けたら辞めるとか、やり続けるとかは、今はまったく分からないです。
必要とされればやるかもしれないし、ひとつ区切りがついたと思ったら、勝っても辞めると思います。それは僕の人生なので、人生の一部として、終わったときにいろいろ考えたいと思うところはありますけどね」
――では、自分自身で整理がついたときが“Mリーガー・萩原聖人”の引退の日になりますか。
「そうですね。まあ『Mリーグ』を辞めたら、おそらく麻雀対局も……。僕はけっきょく、“『Mリーグ』を広げたい”という気持ちでやっているので、それがなくなったらほぼ趣味になっていくところがあるかもしれない。
本当に先のことは分からないですね。実は2年前に1回辞めるって自分の中でちゃんと覚悟を持って伝えたことがありましたが、まあいろいろあって続けることになって。
今後に関しては……僕が決められることは僕が決めます。決められないことがあるなら、その時はちゃんと他人に話して決めようかな、という感じですね。記事にしにくい答えになっちゃって申し訳ない(笑)」
――俳優業と雀士、共通する楽しいことや嬉しいことはありますか?
「うーん……別々すぎるから両方100でやれているのかな、と思いますね」
――俳優業と雀士、逆に、ツラいことなども全然別でしょうか?
「別ですね。しいて言うなら、孤独だなってところです。しんどいところは誰も助けてくれないこと。演技は共演者や監督が助けてはくれますけど、実際演じるところは自分でやるしかないから。そこはアドバイスは貰えても助けてはもらえない。
麻雀も一緒ですよね。アドバイスは貰えるけど、打って結果を出す部分では孤独な作業かなって。そこは共通しているかもしれないですね」
――“孤独”にはもう慣れましたか?
「僕もだいぶ修羅場をくぐってきましたしね(笑)。今、穏やかに仕事できたり、『Mリーグ』で落ち着いて打てているのも、そういう過去があったからだと思っているので。
まあ、理不尽なことに直面したときはモヤモヤしますよ。すぐには切り替えられないし。(俳優業でも)しんどい撮影現場に行ったり、“うわぁ明日も朝早ぇな”とかは考えますけど、そういうのはいつか終わるので。
逆に、自分しかやれないもの、そこを求められているのは非常にありがたいですね。あと、1個1個の仕事や対局が、僕くらいの年になるとあたりまえではなくなって、1つ1つが尊くなってきています」
――そういう心境は、50代になってからですか?
「ここ最近、お世話になった監督が逝ってしまったり……けっこう“えぇっ!?”みたいなことがありました。でも、そういう年だし、自分もいつ何があるか分からない。
周囲はまだ“早いですよ”“若いですよ”と言ってくれるけど、実際のところ違うじゃないですか。まだまだ若いかもしれないけど、もう何があるかは分からない。
でもそういう意味で言えば、“着地点”みたいなものを目指すわけではなくて、麻雀、俳優、両方とも“まだまだやり足らん!”という気持ちになっています。もっと自分にしか残せないものにたくさん関わりたいという気持ちを、麻雀でも俳優業でも、両方持っています」