関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■北海道に出現する幽霊たちはただそこに現れ、さまよう…
大阪在住の作家、田辺青蛙さん(40)が上梓した新刊『北海道怪談』(竹書房怪談文庫)が話題だ。
この本は、幽霊の目撃例が頻出する函館の通称「おばけトンネル」、小樽に現存する「何度棄てても同じ場所に戻ってくると伝えられる隕石」から造られた刀剣、苫小牧に本当に立つ幽霊の銅像、登っている途中で「今、何段?」と子どもの声が聞こえるとの噂がある札幌の藻石山百段階段など、彼女が道内在住者から聴取したり、実際に各地を巡って取材したりした恐怖のルポルタージュなのだ。
それにしても、大阪に住む田辺さんがどうして北海道の怪談を取材するようになったのだろう。
「夫(芥川賞作家の円城塔)の実家が北海道なんです。義父や親戚に怪談が好きな人が多く、陰惨なエピソードをたくさん聞かせてくれました。義父は車でさまざまな心霊スポットを案内してくれて、次第に私も関心を抱くようになったんです」
■北海道で収集した怪談の特色とは?
ついには自分でハンドルを握り、怪奇現象が起きると語り継がれる場所を訪れるまでになった彼女。北海道の怪談に興味を持つ決定打となったのが、ある「塚」との出会いだ。
「札幌の手稲にバッタ塚と呼ばれる史跡があります。この地は明治時代、バッタの大群に襲われて農作物が全滅した歴史があるんです。バッタは肉の味も好み、赤ちゃんの全身をバッタがびっしりと覆い、皮膚を食い荒らした悲劇もあったのだそうです。人々はバッタと闘い、800億匹以上を駆除して地中に埋め、塚にして弔ったと聞きます。そして現在も“2メートルを超えるバッタを見た”という人がいるんです。関西の怪談とは壮絶さのスケールが違います」
怪談の背景に自然の猛威があり、「雪や熊は幽霊よりも怖い」と言われる北海道。吹雪の中、目と鼻の先にある目的地へたどり着けず郵便配達員が凍死する例も過去にあった。山道を歩いている最中、急に死臭がして、なんだと思ったら共喰いで首だけが欠損した巨大なヒグマの上を歩いていた、なんて経験者もいた。地面と間違えるほど大きな熊とは恐ろしい。
関西では想像もつかぬ逸話の数々を見聞きし、彼女は北海道を異界のように感じ、さらにひかれていった。
「雪が人格を持っているかのように腕を伸ばして人を襲うという話も聞きました。自然に対してなす術がないからでしょうか、北海道に出現する幽霊は恨みを持っている例が少ないんです。無念にも亡くなった人がただそこに現れ、さまよう。大阪だと復讐のためにストーカー並みにつきまとうケースが多いんですが」
なんと、幽霊にもケンミン性があったとは。怪談はコワいだけではなく、その街の歴史や風土を知るための貴重な証言集でもあるのだ。
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