関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!
■男女でやれば大盛り上がり!料理人が作った話題のかるた
大阪・北新地にある創作中華料理の店『RAKUSUI』は、「おいしいのはもちろん、驚きがある」と評判だ。具材を惑星に見立てた「プラネタリウムのような酢豚」や、コーヒーカップに盛りつけた料理が回転する「遊園地のような油淋鶏」など、独創的なメニューばかりなのである。
「僕が作る料理はコメディだと思っています。お客さんに笑ってもらえるとうれしいんです」
こう語るのは料理作家の佐藤かずひろさん(44)。そしてこのRAKUSUIにはもう一つ、大きな特徴がある。料理店でありながら、なんと、彼が考案したオリジナルの「かるた」を販売しているのだ。
その名も『修羅場かるた』。「い」なら「いつまでこんな関係続けるん?」、「ふ」なら「ふたつ歯ブラシあるけどなんでなん?」と男女の揉めごとが、ひらがな46文字の数だけユーモラスに描写されている。
読み札には丁寧に「低音で冷静に宣戦布告するように」など読み方のアドバイスまで記されていて、さらに修羅場の度合いがアップ。
「このかるたは緊迫感があったほうが盛り上がるので、女性が男性を追いつめるように、読み方まで指示しています」
「言葉遊びが好きだ」という佐藤さん。きっかけは高校時代に見たテレビドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系)だ。
「セリフが粋で、上質な笑いがありました。さらに、松本幸四郎(現・松本白鸚)さんに給食センターの従業員をやらせるなど、キャスティングに意外性があり、夢中になったんです。それ以来、このドラマを書いた脚本家の三谷幸喜さんを崇拝するようになりました」
■『修羅場かるた』の第2弾も準備中!
さらに、当時放送していた料理バトル番組『料理の鉄人』で麻婆豆腐を必殺技にしていた四川料理の陳健一に憧れ、中華の道を志した。そうして2人の影響が融合し、ドラマチックで個性的な中華創作料理を考え始めたのだそうだ。
そんな彼が料理だけに留まらず、「修羅場かるた」を生み出した理由は?
「2020年、コロナ禍により緊急事態宣言が発令され、北新地を訪れる人がいなくなってしまいました。しかし、アルバイトの子には給料を払わなければならない。そこで、苦し紛れに“かるたを作るから手伝ってくれないか”と頼んだんです」
出来上がった『修羅場かるた』は、まさに修羅場から生まれていたのだ。そして、これが大ヒット。最初に作った200セットは、「蒸発するように一瞬で売り切れた」という。
「特に女性のお客さんが“私も昔、男に、こんなん言うてたわ~”と共感し、大笑いしてくれるんです。この勢いで『修羅場かるた』を大阪みやげの定番にしたいですね」
現在は第2弾『言い訳かるた』を準備中とのこと。男と女の「浮気したやろ」「してへん」の攻防戦、さらに白熱しそうだ。
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