ユーイチ(福永祐一騎手)のラストランとしても注目されたサウジアラビアで、日本馬が大きな仕事を成し遂げてくれました。

 世界のホースマンが注目するサウジカップデーに、日本から参戦したのは5レースで、全20頭。その中で、最初に勲章を手にしたのは、「1351ターフスプリント」で先陣を切ったバスラットレオンと坂井瑠星騎手のコンビです。

 2月25日(土)の深夜、テレビの前で、思わず「オーッ!」と声を挙げていました。

 2つめの勝利は、「レッドターフハンデキャップ」に出走した池江泰寿厩舎のシルヴァーソニック(騎手はD・レーン)。父オルフェーヴル、母エアトゥーレ。昨年のステイフーリッシュに続く勝利で、海外初挑戦での快挙です。

 ユーイチのラストランとなったリヤドダートスプリント(3着)を見届け、いよいよ、メインレース。1着賞金1000万ドル(約13億円)という世界最高峰の賞金額となる「サウジカップ」です。

 第1回の2020年から挑戦を続けてきた日本馬が、ことごとく世界の壁に跳ね返されてきたレースで、今年は、6頭が日の丸を掲げて世界に挑みました。

 もしかしたら……という夢を現実のものにしてくれたのは、矢作芳人厩舎のパンサラッサです。ロードカナロアの血を受け継いだ6歳馬で、1枠からポンと飛び出すと、そのまま最後まで激走。一度も先頭を譲ることなく、先頭でゴール板を駆け抜けました。

 ゴールした瞬間、ジョッキーの吉田豊クンが渾身のガッツポーズ。時計の針は深夜2時30分を回っていましたが、僕の興奮度もマックスに達していました。

 季節、気温といった自然環境や、調整の施設など、日本の馬にとって条件が合うのだと思いますが、それにしても、“すごい”という言葉しか見つかりません。

 僕も負けてはいられません。今週末、3月11、12日は、阪神、中京、中山の3場開催。14日は交流重賞の黒船賞が予定されています。

 今、この原稿を書いている時点で僕が騎乗依頼をいただいているのはヘリオス。レースは高知競馬場を舞台に行われる黒船賞です。

 これまで2度(01年ノボジャック、05年マイネルセレクト)勝っていますが、特に印象に残っているのは、04年(ノボジャックで2着)、黒船賞後の10R。負けても負けても、懸命に走ることでブームを巻き起こした、ハルウララとのコンビ結成です。

 騎乗依頼を快諾した後、あまりに大騒ぎになりすぎたことで、僕自身、ナーバスになったこともありましたが、当日のスタンドはギュウギュウ詰め。

 鳴りやまない拍手と歓声の中、涙を流しながら拳を握りしめたファンの姿を見たその瞬間、僕の心も震えました。

 あれから19年。今度は、勝って、高知の競馬ファンを熱くさせたいと思います。

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