お盆を挟んだ2回札幌初日&2日と、2回札幌3日&4日の競馬は、「こんなこともあるんだな」と思ってしまうほど、明と暗がはっきりと分かれる結果になりました。
いい報告と悪い報告、どちらを先にお伝えするか迷いましたが、気持ちよく進めたいので、いい報告からです(笑)。
父・武邦彦の命日となる2回札幌初日は、2Rの3歳未勝利からスタート。9月4日がデッドラインとなる3歳馬にとって、この時期のレースは、まさしく生き残りをかけた熾烈な戦いとなります。
――とにかく一つ勝たせてあげたい それは、馬に携わるすべての人の強い思いです。
僕が、このレースで最後のバトンを託されたハービンジャー産駒のオシゲも、その1頭で、内容うんぬんより、勝つことが最優先。オシゲは見事、その期待に応えてくれました。
4Rの3歳未勝利戦を、エビちゃん(蛯名正義)が管理するトウキチロウで勝ち、5R2歳新馬では、父エピファネイア、無敗で2歳女王に輝いたレーヴディソールを祖母に持つ女の仔レアリゼアンレーヴをパートナーに、騎乗機会3連勝を飾ることができました。
この勢いは翌日も止まりません。ブラックタイド産駒の1戦1勝馬、エコロヴァルツと挑んだ、8Rの2歳オープン、コスモス賞を圧勝。
キングカメハメハ(父父)、シーザリオ(父母)、ディープインパクト(母父)の血を受け継いだメルシーと挑んだ9R、3歳以上2勝クラスのおおぞら特別をきっちりと勝ち切り、2日間で5勝の快進撃となりました。
レース後に記者の方に教えていただいたことですが、エコロヴァルツで挙げた勝利は、今年のJRA52勝目で、通算では、「4」が4つ並ぶ、スーパーゾロ目の「4444勝」とのこと。長く乗っていると、いろんな記録ができるものです。
ところがです。このいい気分をキープしたまま臨んだはずの翌週は、なぜか、突然の不調に見舞われ、13鞍に騎乗して、最高順位が2着という最悪の結果に終わってしまいました。
中でも、ジャックドールとしては昨年に続く連覇、僕自身にとっては、同一重賞最多勝記録に並ぶ9勝目に向け、自信を持って臨んだG2の札幌記念では、彼本来の力を、まったくと言っていいほど出せませんでした(6着)。時間がたった今でも、歯がゆさだけが残っています。
こうしたときに大切なのは、気持ちの切り替えです。嫌な気分や、むしゃくしゃした気持ちはその場に残し、今週の競馬に向かいます。
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