■三冠王へ!
手術明けで打者に専念する来季に関しては、やはり期待は三冠王だろう。
「今季も一時的に、3部門すべてでトップに立っていますし、彼なら不可能なことではありません。もしも獲得できれば、12年のミゲル・カブレラ以来、12年ぶりの快挙です」(福島氏)
仮に、来季、ナ・リーグでプレーするなら、1937年のジョー・メドウィック以来、実に97年ぶりのナ・リーグ三冠王だという。
「肘の具合も心配されますが、大谷同様に昨季、トミー・ジョン手術を受けて今年5月に復帰したブライス・ハーパー選手(31)も、打率2割9分3厘で規定打席に乗せていますから、問題ないでしょう」(前同)
■ピッチャーとして超えるべきハードル
他方、25年以降の復活を期す投手としては、映画本編にも登場し、当の大谷も「影響を受けた」と憧れを語るマルティネスが、超えるべき次のハードルだ。
とりわけ、2年連続サイ・ヤング賞を獲得し、大リーグ史上でも“歴代投手最高のシーズン”と称えられる99年、00年の彼は、目指すに値する高みだ。
■ベーブ・ルースも射程圏内!
大南氏は、こう言う。
「先にも挙げた指標“WAR”を、00年以降に限ってみると、打者では01年バリー・ボンズの“11.9”。投手では00年マルティネスの“11.7”が最高だから、大谷が超えるべき選手は、このあたりになるでしょう」
はたして、伝説の選手を超えることは可能なのか。
「ちなみに、投手で昨季クラス、打者で今季並みの活躍が仮にできれば、単純計算でも“13.0”ぐらいは現実的に見えてくる。そうなれば、1923年ベーブ・ルースの“14.1”も射程圏になるはずです」(前同)
偉大なる先人が、ちょうど100年前に打ち立てた途方もない数字さえもが、大谷の前では、単なる絵空事とは思えない。
それもひとえに、未到の地を切り拓き、不可能を可能にしてきた彼だからこそだろう。
「栗山監督は、本編のラストで、大谷と出会った当時を“天井のない素材、きらめくような才能に胸が震えた”と表現。彼なら守備も含めた“三刀流もできるのでは”と、半ば本気で語っています。
頂点に立ってもなお、無限の可能性を感じさせる。そんな選手は古今東西、彼以外にはいませんよね」(専門誌記者)
想像を超えるその進化の行き着く先。“怪物”の最終形態が楽しみだ。