「今年2月9日から"中国の性都"東莞(とうかん)市(広東省)で性風俗産業の大規模取締りが始まりましたが、これは序の口にすぎません。今後、中国全土に飛び火するのは間違いない」と語るのは通信社記者だが、これを「性の乱れた隣国の話だろ!」とは一概に言えない事態になっている。

我々日本人にも関わる大きな動きが、上海市で起きていたのだ――。

上海市公安局は3月中旬に、市内の性風俗店の摘発を行った。
この時、39店が摘発され、117人が拘束される大捕り物となったわけだが、これは"前哨戦"にすぎない。

「上海の性風俗で日本人は大の"お得意さん"。客の多さは飛び抜けています。このまま摘発が拡大すれば、公安当局に逮捕・拘束される日本人が出てきてもおかしくありません」(前同)

上海市は中国の最大都市であり、同国の金融・工業・商業の中心の一つ。
日本のビジネスマンも、商社、銀行、製造業などで働いており、5万人以上の日本人が滞在している。

それだけに、日夜、汗水垂らして働く企業戦士のための"癒しスポット"も充実しているという。
「上海の性風俗店はカラオケ店が中心で、日本語の看板を掲げる店が軽く100店以上あると言います。"日式カラオケ"(KTV)と呼ばれる連れ出し店が隆盛を極めていて、接待などにも使われているのが実態です」(中国在住のジャーナリスト)

すでに一大ビジネスと化している日本人向けの風俗産業だが、現地での評判は相当悪いようだ。 中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏が語る。

「売春産業にまったく関わりのない中国人からすれば、乱れきった性の実態や、店舗と公安当局の癒着などに我慢の限界がきています。そのため、過去に前例のない大規模摘発が行われようとしているのでしょう」

だが、こうした表向きの事情だけではなく、売春撲滅には、中国共産党の政治闘争も関わりがあるという。

「東莞市の摘発は、次期国家主席の呼び声も高い胡春華・広東省書記を潰す習近平国家主席の策略だという見方が有力です。胡氏は中国全土の公安当局に絶大な権力を持っていて、東莞市はその拠点です。性産業の黙認や、その見返りとキックバックなどで莫大な利益を得ている。習主席は反体制派の胡氏の力をもぎ取りたいんです」(前出・ジャーナリスト)

この摘発キャンペーンはさらに中国全土へと広がっているようなのだ。

「風俗産業が盛んな黒竜江省のハルビン市、上海市へと飛び火している。これらの地域は胡氏の影響下にあると言われていますから、摘発拡大は権力闘争の一環と見て間違いない」(前同)

こうした事情から、外国人が多く、多額のカネが動く"治外法権"上海にも、ついに国家が介入し始めたというわけだ。

その上海の日式カラオケのシステムは完成されていて、毎夜、乱痴気騒ぎが行われているようだ。

「規模はさまざまですが、女の子が10人程度の小さな店もあれば、ビル1棟が丸ごと店舗で500人なんて大規模店もあります。エントランス部分にズラリと並んだチャイナ美女を物色し、気に入った子を指名。そこから、個室に入って、歌って踊りながら、アフターやお泊まりの交渉をするシステムです」(日本の大手商社の上海駐在員)

一晩の相場は1万5000円~2万円ほどで、ハマるビジネスマンは多い。

入国禁止の厳しい処罰もある

「なんせ2万円で、色白のスタイル抜群の美女が一晩かけて相手してくれる。日本語をしゃべれる子も多く、何回か指名すれば愛人感覚でつきあえます」(前同)

昼はビジネスの要衝、夜は"魔都"へと変身する上海。日本人が深く関係している街だけに、今回の大規模摘発は大問題なのだ。

こうした中、駐在する日本人に、"夜遊び警告メール"が回っている。

「日本総領事館関係者や日本人会の有力者が、2月後半から在留邦人に買春行為を自粛するようメールを送っていますね。公安当局は綱紀粛正に向け動いており、少なくとも4月11日までは"取締り強化期間"との情報も。特に最終日は大規模作戦があるようです」(前出・通信社記者)

本紙は今回、某大手製造メーカー駐在員宛のメールを入手。

これまでは、ほぼ見過ごしてくれていたパスポート不携帯(罰金500元・約8500円)や、店内で服を脱ぐ行為(罰金5000元・約8万5000円)も、厳しく処分されるという。

「摘発時にカラオケ店内に居合わせてしまったら、罰金どころか拘留10日もありうる。まして買春の現場を押さえられた場合、逮捕されて、罰金5000元に加え、ビザ取り消しで3年以上の再入国禁止、最悪の場合は懲役5年の処罰もある。日本人が一斉に拘束されれば国際問題に発展しかねないので、"カラオケには絶対行くな"との厳命が広まっています」(前同)

思わぬところで、日本人に波紋を広げる"性都壊滅計画"。

日夜奮闘する企業戦士も、夜はしばらくおとなしくしていないと……。

本日の新着記事を読む