歌舞伎町案内人 李小牧が暴く! 日本人は知らない 中国ニュースの裏側


わが中国で最近深刻な広がりを見せている環境問題――それは、大気汚染物質PM2・5ではない。放射線だ。3年前に福島第一原発が事故を起こした日本より、中国の都市部の放射線量が高いことが知られ始めている。

今年2月、私は中国人学生50人に同行して東北の被災地を視察した。そこで福島県の職員に、福島県内より上海の方が放射線の数値が高いと教えられた。私が訪れた時、いわき市内の放射線の数値は0・08マイクロシーベルト/時。ところが、福島県の上海事務所は0・09だという。

福島訪問をきっかけにこの問題に興味を持った私は、自腹で放射線測定装置を購入。先日の中国への帰国の際にあちこちの都市の数値を計り、中国版ツイッターの「新浪微博(シンランウェイボー)」に次々にアップした。

反響は絶大だった。なにせ成田空港の数値は0・1マイクロシーベルト/時だったのだが、上海市は0・6、わが故郷の長沙市は0・76、さらに妻の実家の南京市にいたっては、1・83もあったからだ。実に成田空港の18倍だ。

なぜ、中国で放射線の数値が高いのか? 正確な原因はまだはっきりしていないが、最近指摘されているのがあのPM2・5との関連性だ。

中国の北部にある内モンゴル自治区では、石炭を大量に採掘している。その際、石炭にウランが混じった鉱脈から石炭が掘り出されるケースがあり、それが中国各地に流通。暖房や工場の燃料として燃やされ、各地の放射線の数値が跳ね上がっている――といわれている。PM2・5は石炭の煤煙と自動車の排気ガスが生んだ汚染物質と指摘されているが、実は放射性物質も混じった「スーパー汚染物質」だったかもしれない。

南京の1・83マイクロシーベルト/時を浴び続ければ、1年でだいたい計16ミリシーベルトになる。福島第一原発の避難基準になっている年間20ミリシーベルトに近い数字だ。

「せっかく福島の放射能から逃げて上海に戻ったのに、これじゃ意味がない!」
3年前の東日本大震災後、あわてて日本から逃げ出して帰国したある中国人は微博で嘆いていた。彼には気の毒だが、これが世界第2位の経済大国であるわが祖国の実情だ。

本日の新着記事を読む