「毎日をエンジョイ 明るさがモットー!」と歌う彼女たちの名前は「オバチャーン」。"アイドルは若い"という概念を覆す平均年齢63.5歳のおばちゃんアイドル集団である。

 アニマル柄の服を身にまとい関西弁で喋り倒す、大阪のおばちゃんイメージそのもののオバチャーンは、2011年アートイベント『ツムテンカク』にて大阪のアート作品として誕生した。その後、大阪のオバチャンパワーで世界を元気にするという使命を受けアイドルとして再デビュー。2012年には初のオリジナル曲である「オバチャーンのテーマ」が発表された。

オバチャーンのテーマ

「きっつい化粧や今日も厚塗り」と大阪おばちゃんスピリッツが篭められたラップはyoutubeで50万回再生を突破。地域貢献を第一に考えているので、その活動は通天閣でのライブや天王寺蕪収穫祭など地域のイベントの出演がメインだが、最近では全国ネットの地上波番組にも登場、国を越えて台湾やペルーでも特集が組まれた。

初期はイベントで街を練り歩いていたが、おばちゃんたちの足に負担がかかりすぎるため現在はライブやCDを買うと参加できる握手会ならぬ人生相談会といった活動を行っている。2013年11月には彼女たちのオリジナル2曲目である「オバレゲエ」が発表された。

オバレゲエ


「なんかええ感じ」という非常にふわっとした歌詞から始まるレゲエナンバー。おばちゃんたちがレゲエを体得するのに時間がかかり、発表が3ヶ月も遅れたという。ようやくレゲエを歌えるようになり「オバチャーンのテーマ」「オバレゲエ」の2曲が収録されたCDが発売されようというときに大問題が発生した。

もともと47人いたオバチャーンの中でも「仏7」(ホトケセブン)と呼ばれるメインの7人に仕事が集中してしまったため表に出られないメンバーが嫉妬し、30人を越える卒業者が出るというメンバー大量離脱事件が起きてしまったのだ。その乙女心は、平均年齢63.5歳でも普通のアイドルと何ら変わらない。

現在は当初の半分以下である13人で活動中。そして2014年4月1日、活動3年目にしてついにトイズファクトリーから念願のメジャーデビューが決定。「オバチャーンやなくてオバアチャンやろってイヤミいわれたりもしたけど、メジャーデビューやで!」とメンバー一同歓喜。20年間芸能界で日の目を見なかった経験を持つメンバーは「やっと花が咲いたわ」と涙を流した。「苦労してきたから今が一番楽しい」「夢を諦めたらアカン」と半世紀以上生きてきたからこそいえる言葉とともに、オバチャーンはこれからも邁進し続ける。

文・米原千賀子

オバチャーンの今後の予定
4/29、1万5千人規模の音楽イベント「舞音楽祭」に出場予定。http://my-fes.com/
5月にはバスツアーも企画されている。https://www.has-t.net/

公式サイトhttp://www.obachaaan.com/

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