やや顔を伏せ、大阪市内の記者会見場に現れた理化学研究所(理研)の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)は、声をつまらせつつも、開口一番、「私の不注意、不勉強、未熟さゆえに多くの疑念を生み、理研および共同執筆者の皆様をはじめ、多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことを、心よりおわび申し上げます」と述べた。

そのあと、理研の最終調査結果で論文を「改ざん・捏造した」と結論付けられたことに、こう反論したのだった。
「(万能細胞を作る)STAP現象は何度も確認された事実です。(中略)STAP現象が論文の体裁上の間違いで否定されるのではなく、科学的な実証・反証を経て研究が進むことを何よりも望んでおります」

評論家の小沢遼子氏は、小保方氏の逆襲が始まったとして、こう語る。
「彼女は正しいデータがあると会見でハッキリ言っているし、嘘をついているようには見えなかった。逆に、理研がどうして彼女に不正行為があったと断定したのか不思議なくらいですよ」

このように、会見での小保方氏の発言を、徹底抗戦の意思表示とみる声は日増しに高まっている。
「小保方さんは1日に理研の最終報告が発表される直前、直撃した週刊誌記者に"大きな力が働いている"と意味深なコメントをしているんです。その彼女の呟きの真意を読み解くヒントが、会見での発言に隠されていました」(理研の内部事情に詳しい関係者)

小保方氏は会見で、こう述べている。
「この論文に関し、たくさんの疑義が上がる中で、何度も私の口から(マスコミに)説明させてほしいと言ったし、コメント案を作ったりしたが、理研が、"それは適切ではない"という判断で、今日まで発表することができなかった」

なぜ理研は、世間に公表することを、"適切ではない"と小保方氏に釘を刺したのか。
そこからは、「"伏魔殿"と言われる理研の抱える深い闇が垣間見える」(前出・理研関係者)という。

そもそも理研は、ノーベル賞に輝いた野依良治氏を理事長に迎えるなど、多数の科学者を擁する日本有数の巨大研究機関。

「大正時代に産声を上げ、原爆開発の極秘研究も行われていました。研究費を稼ぐために研究成果を商品化し、理研コンツェルンと呼ばれる企業群を擁していましたが、戦後、GHQによって解体された過去があります」(前出・関係者)

現在は独立行政法人として3000人以上の職員を擁し、国費から850億円もの予算が投じられている。

「民主党政権時代に蓮舫参院議員が"2位じゃだめなんでしょうか?"と発言し、事業仕分けの遡上にのぼったスーパーコンピュータも理研のプロジェクトでした」(全国紙政治部記者)

莫大な予算が国費から投じられる一方で、ムダ遣いや不正行為も相次いで明るみに出ている。
「約950万円でイタリアの高級ブランドの家具を購入したことも、そのひとつ。また、放射線関係の研究に携わる職員約2000人に総額およそ1100万円の手当を余計に支払っていたこともありました」(前出・関係者)

このほか、業務に使うべきタクシー券を、職員が私的な目的に流用していた事実も発覚している。

そして、「杜撰極まりない論文が発表されるに至った背景には、こうした理研の体質が大きくある」(前同)のだという。

理研という"パンドラの箱"

「理研は、政府が新設を検討している特定国立研究開発法人への指定を目論んでいます。指定されると、研究者にこれまで以上の報酬が支払われ、1億円の年収を稼ぐ"カリスマ研究者"も誕生します。そのため理研では、小保方氏に科学雑誌『ネイチャー』への論文投稿を急がせたとも言われているんです」(前同)

理研が捏造と断定したのも、その投稿論文。
そこに、特定国立研究開発法人への格上げを目指す理研の意向があったとしたら、大問題だ。

このため、会見では記者団から、理研側から急がされた事実があったかどうかの質問も出た。

小保方氏は「投稿論文が受理されるのがいつになるかはわかりませんし、(理研からの意向は)感じておりませんでした」と、ここでは所属する理研を庇ったものの、理研の疑惑が完全に消え去ったわけではない。

「与党・自民党の議員の中にも、今回の件を重視する動きが出ています。理研としては、未熟な技術者が一人でやったことと、"とかげのしっぽ切り"で一日も早く幕引きしたかったんでしょう」(永田町関係者)

一方、理研を覆う闇はほかにもある。
「小保方氏の上司にあたる笹井芳樹副センター長は、ノーベル賞候補と言われ、理研が誇るエリート研究者。彼も小保方氏の論文の共著者です。彼を守りたい理研が、彼女の"爆弾発言"を警戒しているという噂もあります」(夕刊紙記者)

いずれにせよ、彼女の逆襲に「理研側は戦々恐々としている」(前同)と言われるだけに、「これからどうなるか、大いに関心がある」(前出・小沢氏)ところだ。

理研の欲望とカネにまみれた"パンドラの箱"が開く日は来るのだろうか。

本日の新着記事を読む