血液型診断と言えば、性格占いを思い浮かべる読者の方は多いことだろう。
もっとも、これに関しては科学的な根拠はないというのが定説と言っていい。

だが、血液型の種類によって、特定の病気にかかる可能性はまったく異なる。
ということは、寿命には血液型が大いに関係しているということだ。

「09年に米国国立がん研究所が発表したんですが、A、B、AB型の人はO型に比べ、膵臓(すいぞう)がんにかかりやすいことが明らかになっています。約10万人を8年間追跡調査したところ、O型に比べてB型は約1・7倍、AB型は1・5倍、A型は1・3倍もかかりやすかったのです。この衝撃的な調査結果を裏づける研究が、その後、米国、イタリア、中国でも行われています」(全国紙厚生労働省担当記者)

その他の病気に関しても、血液型によって差があるとの結果が、世界中の研究機関で続々と出ているというから見逃せない。

「血液型で病気にかかる確率に有意差が出る主な理由は、1.血液型で免疫力に差がある、2.個々の病原体には特定の血液型を持つか、好む傾向にあるからです」
こう語るのは、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎・医学博士だ。

藤田博士は"カイチュウ(回虫)センセイ"として寄生虫の研究で著名だが、同時に、病原体となる細菌やウイルスの研究者だ。

『血液型の科学――かかる病気、かからない病気』(祥伝社新書)という著書もある。

「たとえば、食中毒を引き起こす大腸菌の菌体はA型物質でできています。そのため、A型の人の体内では、A型を持つ大腸菌の侵入を防ぐ抗原抗体反応が働きません。そうした理由から、大腸菌による食中毒になりやすいわけです。O型が一番病気にかかりにくいのは、一番免疫力が強いうえ、A型とB型が片方ずつの抗体しか持たないのに対し、O型はA・B両方を持っているからです。逆にAB型はAとB、どちらの抗体も持っていません」(前同)

実は、血液型を決めている"血液型物質"は血液(赤血球)のみにあるのではない。
藤田博士によると、「とんでもない誤解です。血液型物質は体内の至るところにあり、細菌が多い胃と腸内に最も多く分布しています」というから驚き。

血液型と内臓の病気は大きく関係しているというわけだ。

では、血液型別にかかりやすい病気を見てみよう。

まずは、日本人の約4割を占めるA型はどうか。
「そもそも、免疫力の強さは、上からO型、B型、A型、AB型の順です。この免疫力の差が主因となり、A型は胃がん、食道がん、子宮がんの患者が、ほかの血液型と比べて多いというデータがあるのは事実。一番差が大きい唾液腺(だえきせん)がんの場合、A型はO型に対し1・64倍かかりやすいという報告もあります」(医療ジャーナリスト)

日本人の死因(病死)の第1位が、がんなのはよく知られている(2位は心臓病で3位は脳卒中)。

それだけに、"A型はがんにかかりやすい"という事実は見過ごせない。

さらに、O型とA型では脳梗塞(のうこうそく)などの危険性もまったく違ってくる。
「米ハーバード大学医学部関連医療機関『ダナ・ファーバーがん研究所』の発表によると、A型の人は、O型より脳梗塞、心筋梗塞(しんきんこうそく)両方の引き金になる血栓症のリスクが1・5倍高いとの報告があります。さらにA型は、脳梗塞、心筋梗塞を引き起こす可能性の高い糖尿病にもかかりやすい。特に心筋梗塞に関しては、ほかの血液型に比べ、実に20倍のリスクがあるとの報告まで出ているくらいです」(前同)

この報告について、前出・藤田博士が解説する。
「08年にドイツで開催された欧州心臓病学会での発表ですね。4900人もの心臓疾患のイタリア人を対象にしたものです。こうした生活習慣病にまで血液型で有意差が出る原因については、今後の研究を待たねばなりませんが、確固たる証拠としてデータがあるのです」

B型は肺炎と梅毒に注意せよ

お次は日本人の約2割を占めるB型だ。
前出のように免疫力はO型に次いで強い。

しかし、B型を好む病原体はかなり多いのだ。
「B型は肺炎をはじめ、結核など肺の病気にかかりやすい。肺炎を起こす原因となる肺炎球菌はB型です。結核に関しても、O型に比べてB型のほうが10%感染率が高いんです。ちなみに、A型は5%高いんです」(前出・厚生労働省担当記者)

また、B型は梅毒にもかかりやすく、O型に比べて1・7倍もリスクが高いとのデータも存在する。

「これからの季節、暑くなってきますが、B型の人は食中毒に要注意です。サルモネラ菌、大腸菌の中にB型を好むものがいるからです」(藤田博士)

そして、日本人の約3割を占めるO型。

O型は最も免疫力が強く、ほとんどの病気にかかりにくいため"長生きの血液型"と言っていい。

「糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病や、悪性貧血、リウマチ熱のような自己免疫疾患にもかかりにくいのです」(前同)

だが、まったく弱点がないというわけではない。
「O型にもリスクの高い病気があります。それは潰瘍(かいよう)です。胃潰瘍はA型に比べ15%、十二指腸潰瘍は実に30%も多いんです」(同)

この原因については今のところハッキリしないそうだが、藤田博士によると、「O型の人は胃酸濃度が高い傾向があります。胃酸が多いので、潰瘍ができたり、胃壁に炎症を引き起こしやすいと考えられます」

その他、注意しなければならないのは伝染病だ。
「国内ではほとんどかかることはありませんが、コレラやペストなどにかかりやすいんです。これら伝染病の病原体がO型物質に対する親和性が強い。そういう可能性があります」(同)

日本国内では最強の血液型とはいえ、海外旅行の際にかかる可能性があるから、気をつけよう。

最後は日本人の約1割と最も少ないAB型。
そもそも一番免疫力が弱いうえ、A型、B型どちらの抗体も持っていない。だからといって、すべての感染症にかかりやすいかと言えば、そんなことはない。

「過去に6回も世界的流行を引き起こした古典型コレラは、ほかの血液型よりAB型の抵抗力が強いことが知られています。ただ、総じて弱いのは事実で、特に梅毒には極めて抵抗力が弱いため要注意です。梅毒はエイズの感染リスクを高めますから」(同)

また、インフルエンザA1型にも弱いため、流行時には特に要注意だろう。

「日本人の中ではO型が一番病気に強いのは間違いないとはいえ、暴飲暴食や運動不足は病気の引き金になります。まずは自分の血液型がどんな病気にかかりやすいかを知り、予防を心がけることが重要です」(厚生労働省担当記者)

何はともあれ、不摂生は禁物。
やっぱり、生活態度が重要というわけか!?

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