2013年10月8日午後4時50分。東京都三鷹市の自宅前の路上で、私立高校3年のSさん(18)が何者かに刃物で刺され、死亡した。約1時間40分後に緊急逮捕されたのは、元交際相手で京都市在住の無職・池永チャールストーマス被告(21)だった。

池永被告は当日、2階の無施錠の窓から侵入。Sさんの部屋のクローゼットの中で数時間にわたって待ち伏せし、帰ってきた彼女をナイフで襲った。そして、逃げるSさんを自宅前の路上で、メッタ刺しにしたのだ。

2人の交際が始まったのは、11年の9月頃。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の一つ、フェイスブックで知り合い、直後から交際を始めたが、12年秋のSさんのアメリカ留学を契機に別れた。だが、13年3月にSさんが帰国すると、池永被告から頻繁に復縁したいというメールや手紙が届くようになる。

彼女は断ったが、諦めきれない池永被告の電話やメールは止むことなく、Sさんが着信拒否という非常手段を取ったことで、池永被告はストーカー化していく。

13年9月末、京都から夜行バスで上京した池永被告は東京に着くと、すぐにナイフを購入。Sさんの自宅周辺を、うろつき始める。

彼女は犯行の4日前に担任教師を経由して杉並署に、また、事件当日の朝9時には、両親と一緒に三鷹署を訪れ、「待ち伏せされている」と訴えたが、そのわずか8時間後の犯行だった。しかも、Sさんの無事を確かめる三鷹署からの電話を、池永被告はクローゼットの中で聞いていたという。

まず目を引くのは、警察の対応のまずさだが、それ以上に世間を騒がせたのは、ストーカー化した池永被告が彼女のヌード画像や卑猥な動画をネット上に公開するという「リベンジポルノ」の手段を取ったことだ。

Sさんは、池永被告とつき合っていた際、「自分撮り」した何十枚もの画像や映像をメールで送っていた。それを、復讐のため、ネット上で公開したのだ。
「画像はスカートを捲り上げて下着を見せているものから、一糸まとわぬ姿で写っているものまで67点、動画は裸の男の下半身にSさんが顔を埋めているものが確認されています。被告は犯行前、隠れている際に、友人と無料メールアプリであるLINEで、〈かなりストーカーじみたことしてる〉〈元カノの家の押し入れにて〉〈神様反省してるので助けてください〉〈詰みだわ〉などと中継していました。ある意味、この事件は"新時代の劇場型犯罪"と言えるかもしれません」(週刊誌記者)

小学校の頃からタレントとして活躍し、将来の夢は女優だったというSさん。4年前には、映画『冷たい部屋』でスクリーンデビュー。これからというときに……。

SNSによる出会いから、ネット上でのリベンジポルノ、そしてLINEによる犯行の実況中継まで、現代だからこそ生まれた、異常な犯罪と言えるだろう。

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