日本舞踊の名家、花柳流で泥沼化する後継者争いの画像
日本舞踊の名家、花柳流で泥沼化する後継者争いの画像

国内最大の日本舞踊流派「花柳流」。2万人を超える門弟を持つこの名家で、熾烈な継承者争いが勃発している。

騒動の発端は、2002年9月に3代目家元・花柳若葉氏(享年72)が後見人の花柳壽楽氏(享年88)の孫・花柳貴彦氏を4代目に指名したことによる。貴彦氏はそれに応じ、当時務めていた清水建設を退社、3代目の下で「家元修行」を受けていた。

2007年1月に壽楽氏が亡くなり、その1周忌である2008年1月には4代目として襲名することを正式に発表する予定だった貴彦氏。ところが、3代目の若葉氏が2007年5月に急逝してしまったため、彼女のもう1人の後見人であった、花柳寛氏(82)が台頭してきたのだ。若葉氏の本葬で彼は関係者に「自分が4代目に就任した」との旨を宣言。さらに、同年7月にはマスコミに自身の4代目就任と5代目には孫の芳次郎氏(21)を指名すると発表し、2人の間で後継者争いが激化した。

2008年3月には貴彦氏が、都内にある3代目の自宅兼稽古場の土地と建物を、相続財産管理人に対して「正当な家元」である自分に引き渡すように求め提訴。同年4月には、寛氏を相手取り、家元は自分だという地位確認の訴訟を起こした。相続をめぐる裁判では貴彦氏が勝訴したが、寛氏側も黙ってはいない。

昨年9月に、寛氏側は貴彦氏やその支持者である名取に「除名検討通知」を送付。今年1月に開かれた花柳流の新年総会では、「会員証を持っていないから」という理由で会場にも入れず門前払いを食らった貴彦氏。 「3代目から口頭で指名を受けた」という貴彦氏と「流派の理事会に打診されて襲名した」という寛氏。家元の選定基準が明確には決まっていないため、双方の間に意見の食い違いが見られる。華やかな古典芸能の世界で起きたドロドロのお家騒動は未だ収まる兆しがない。

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