警察の懸命の捜査にもかかわらず、犯人を特定できないままになってしまう未解決事件は、残念ながら毎年発生している。

昨年1月~10月に起きた刑法犯罪を見ると、総数110万1498件のうち、警察が犯人を逮捕して解決した事件は、31万7023件。つまり全体の7割以上は未解決のままなのだ。

最近の例を挙げるなら、昨年末の12月19日早朝、外食チェーン「餃子の王将」で知られる王将フードサービスの大東隆行社長が射殺された事件。凶器は25口径の拳銃で至近距離から4発発射されたことが明らかになっている。
「しかし、物証として現場に残された薬莢からは指紋が検出されず、弾丸を鑑定しても、過去の事件で使用された拳銃とは一致しませんでした」(全国紙社会部記者)

さらに、付近の防犯カメラの映像から犯行時刻に現場付近を走行した車を特定し、ドライブレコーダを回収して解析したが、犯人逮捕に至る手がかりは得られておらず、現在、捜査は行き詰まりを見せている。

どの地域で未解決事件が多発しているかを検証するのは難しい。
「解決するまでは、どんな事件も捜査は継続されますから、未解決事件という分類は犯罪の統計上、存在しないんです。でも、各都道府県の"検挙率"を見れば、犯人を逮捕しづらい事件が多発していることにはならないでしょうか」(丸山氏)

犯人を逮捕した件数を警察が発生したと認識した事件数で割った数値が「検挙率」である。13年の統計で最も検挙率が高いのは鳥取県の62.4%、一方、最下位は大阪府の16.9%となっている(全国平均28.8%)。
「発生している刑事事件の大半が自転車窃盗などの比較的軽い罪ですから、検挙率が低いエリアだからといって、必ずしも未解決事件が多いと断定できるわけではありませんけどね」(前同)

だが、昨年起きた未解決事件の中でも、冒頭で紹介した王将の事件が起きた京都は発生率でワースト2位である。ほかにも、昨年8月に、空き地で女子中学生の遺体がほぼ全裸の状態で見つかった女子中学生強盗殺人・死体遺棄事件(三重県朝日町埋縄少女殺人事件)が発生した三重の検挙率は10番目に低い。

ほかの都市は、首都圏だと東京を核に埼玉と千葉。大阪を核にした京都、兵庫、滋賀。中京エリアは岐阜や愛知もワースト上位だ。やはり、犯罪の多い大都市圏は、比例して検挙率も低くなっていると言える。また、別の見方もできる。「実際のところ、鳥取県と大阪府を比較した場合、鳥取県の犯罪認知件数が約3555件であるのに対して大阪府は12万3532件。34倍差というかけ離れた数値となっています。警察官の人数でも、鳥取県警の1170人に対し大阪府警は2万1050人、17倍の差となっている。つまり、警察官1人あたりの負担は大阪と鳥取で約2倍という格差になっているんです」(同)

取り締まる警察官数と認知件数の差が、検挙率に直結する一因となっていることは間違いない。
「さらに殺人や強盗などの凶悪事件に限って言えば、大阪の検挙率は38.9%と、全国的に最も低いんです。検挙率と凶悪な未解決事件の発生が連動するのも偶然ではないと言えるでしょう」(同)

2010年の刑法改正で、殺人事件の公訴時効廃止が成立しており、殺人以外の事件の時効も上限30年と、これまでよりも長く設定された。

だが、事件を追い続けるということは、未解決事件が増えることで警察官の捜査人員がさらに分散されていくことになる。検挙率の低さが凶悪な未解決事件を増やすという悪循環に陥らぬよう、各警察には一層の取締り強化をお願いしたい。

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