ギロチンや釜茹でから、絞首刑、銃殺まで古今東西で執行された死刑。世界を見渡すと、首を傾げる判例も少なくない。仰天の刑罰事情を大公開!


正義は一つではない。国によって言葉や習慣が違うように、正義と、それを犯した者に対する罰も様々だ。「マジかよ!」と目をむくような出来事も、現実に起きている。

ヘタしたら、生きて帰れないかもしれない。
そう思わせる国……たとえば、中国だ。

処刑者数は公表されていないが、世界の中でも死刑執行件数が断トツの国と言われている。

中国で死刑が適用される犯罪は、非常に広範囲。
殺人はもとより放火、密輸、薬物犯罪、汚職、詐欺、強姦、売春、性犯罪、ポルノ頒布、窃盗……。
日本では比較的軽い犯罪でも死刑になる。

最近では、児童にイタズラを繰り返していた小学校教師、多額の借金を踏み倒した女などに死刑判決が下った。
日本人も過去に4人、薬物犯罪で処刑されている。

ちなみに、薬物で死刑になる可能性が高い国は中国以外にイラン、サウジアラビア、ベトナム、マレーシア、シンガポールである。

「中国で死刑が多いのは、移殖用の臓器を確保するためと噂されています。全移植件数の6~7割が死刑囚の臓器だという話もあるくらいです。なんと死刑判決を出した裁判所が、病院から報酬を受け取っているという話も聞きました。単なる噂だといいんですがね……なんとも恐ろしい話です」(日本の企業駐在員)



韓国ドラマの鑑賞や聖書所持で銃殺!?


中国もいろいろ問題の多い国だが、北朝鮮はもっとすごい。

この国には、まともな裁判などない。
独裁者・金正恩第1書記の気分次第で、人が殺されているのだ。

昨年末、北朝鮮ナンバー2の張成沢が処刑されて大きなニュースになったが、それ以外にも死刑執行は日常的に行われている。
「韓国ドラマを見たとか、聖書を持っていたとか、そんなことが反国家犯罪とされ、刑場に引き立てられます。要するに理由はなんでもいい。邪魔者を消せってことでしょう。昨年の夏には、"北朝鮮の少女時代"と言われたポップグループのセンター・玄松月を含む音楽家十数人が公開銃殺されました。彼女は金正恩の元カノです」(外信部記者)

家族の目の前で行われた玄松月らの処刑は、極めて陰惨だった。
最初に機関銃を乱射。

人の形をとどめないほど損傷した遺体を、火炎放射器で焼いた。
死刑囚の中には妊婦もいたが、手心は一切加えられなかったという。

極めつけは、厳格なイスラム法が支配するサウジアラビアでのことだ。
ある男が衛星テレビの番組に出演し、自分の性体験を告白した。「初体験は14歳だった」とか、「携帯電話で女性を引っかけたことがある」といった内容だった。

どうってことないチャラ男の"武勇伝"。
日本なら、そんな感じで聞き流されるだけだろう。

が、サウジでは違った。

政府は、このテレビ局の事務所閉鎖を命じ、男は当局に拘束された。
容疑は「不道徳な行いを公表した罪」である。そして、保守層からは一斉に「この男を死刑にすべき」という声が上がった。

「こんなことで死刑になるはずがないと思うかもしれませんが、サウジでは十分にあり得ます。この国では婚前交渉、不倫、同性愛、売春などは、死に値する重罪。たとえ殺されたって、文句は言えないんです」(サウジ在留邦人)

異教徒とのセックスや結婚もタブーだ。
外国人と恋に落ちた娘や妻が、その父や夫に恋人もろとも殺される事件も起きているが、この場合、犯人が罰せられることはほとんどない。

「名誉殺人」と見なされ、無罪放免になるという。

「不道徳な罪を犯した者は公開処刑されると言います。広場に引き出され、首をはねられるとか。サウジでは、ナンパしようなんて考えないことですね。女を口説き落としても、自分の首まで落ちたらシャレになりませんから」(前同)



強姦したらムチ打ち刑……で、被害者側も?


正式な夫婦間以外のセックスを重罪とするのは隣のイランも同様だが、この国からは数年前、想像を絶するニュースが飛び込んできた。

16歳の少女の悲惨な体験を伝える内容だった。

まず、少女はあるパーティーに出席。
そこで知り合った男と車の中で話をした。

すると道徳警察に見つかって逮捕され、刑務所に入れられてしまった。

閉ざされた空間に男女2人でいることは、不道徳で淫らな犯罪と見なされる。
エレベーターで、見知らぬ男女がたまたま2人きりになったという理由だけで罰せられた例もある。
もちろん、日本人を含む外国人も例外とはならず、その規定は適用される。

このとき、少女に下された罰はムチ打ち100回だった。

そして、さらなる不幸が彼女を襲う。
その後間もなく、妻子のある51歳の男にレイプされ、再び法廷に立たされたのだ。

裁判所が下した判決は、レイプした男にムチ打ち95回。
少女に対しては、なんと死刑!

加害者より被害者への罰が重かった。
「裁判所は事件の経緯より、彼女がセックスしたことを問題視して、姦通罪で断罪。処刑は判決直後に執行されています。また、同じく中東、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイでも、強姦の被害を訴えたノルウェー人女性に、有罪判決が出たことがありました」(通信社特派員)

その一方で、世界の風潮は死刑廃止に傾いている。
現在、先進国で死刑制度を維持しているのは日本とアメリカだけである。

死刑の代わりに出てきたのが、とんでもなく長い懲役刑。

ブラジルで29人を無差別に殺した元警官に懲役1024年。
スペインの列車爆破テロの主犯に懲役4万年といった判決が出ている。

世界最長記録は、タイの詐欺犯に言い渡された懲役14万1078年である。

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