創業300年の名家「赤福」で骨肉のお家騒動の画像
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創業から300年以上の歴史をもつ、老舗和菓子メーカー「赤福」(三重県伊勢市)。同社の臨時株主総会が4月23日に開かれ、浜田典保社長の事実上の退任が決まった。新社長には典保氏の母親である浜田勝子(まさこ)氏 が選任、典保氏は新体制で代表権のない会長へと追いやられた。息子から母親へ社長の座が移るというなんとも不可解な人事は、どうやら「赤福」の経営をめぐる父と子の対立が背景となっているようだ。

事の発端は典保氏の父親、浜田益嗣(ますたね)氏が会長として経営を掌握していた2007年に遡る。折しも創業300周年を迎える節目のその年に「赤福」の偽装販売問題がもちあがった。偽装の内容は、商品の製造日や消費期限を偽って表記し、出荷・販売していたというもの。全国的な知名度をもつ銘菓販売元の不祥事は世間の関心をあつめ、益嗣氏は記者会見で事情を説明する自体に陥った。

「(問題の)一番の原因は私」と記者会見で謝罪した益嗣氏は責任をとって辞任、3代目社長であった息子の典保氏が経営を任されることとなった。その後「家業から企業へ」と銘打ち、改革にのりだしたのが典保氏。偽装発覚後の2008年から2013年までの間に、64億円だった売上を92億円にまで伸ばすなど、事業発展に大きく貢献したが、その経営方針が父親と合わず双方で対立が深まっていった。

経営から退いたかのように見えたが、実は赤福の株を80%以上保有する「浜田総業」の社長を務めるなど、依然と影響力を持ち続けていたという益嗣氏。「考えの合わない息子から、経営の実権を取り上げたかったのではないか」と地元関係者からはささやかれており、実際に経営体制の刷新についても「益嗣、勝子が判断した」と社内で公表。今回のクーデター後、赤福は益嗣氏の方針である「お家型」の経営スタイルに立ち戻るのではないかともいわれている。

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