競馬新理論 井崎脩五郎
太眉大流行が示すもの



秋にずっと行われてきたオークスが、春の施行に変わったのは、1953年(昭和28年)のこと。春に3歳牝馬が2400メートル戦を走っても、別に問題がないというくらい、その頃、日本の3歳牝馬にも体力がついてきたということなのだろう。

去年はそれから60年経った記念の年だった。人間でいえば還暦である。オークス春施行の記念馬券が出る可能性ありと見ていたら、案の定だった。メイショウマンボとエバーブロッサムで決まったのだが、メイショウマンボの父親スズカマンボは、「春」の天皇賞の優勝馬。そしてエバーブロッサムは、その母親の名が、春そのものの「サクラサク」だったのである。

実は今年は、映画『ローマの休日』が日本公開(1954年)されてから、ちょうど60年経っている。「現代世相風俗史年表」(河出書房新社)によると、〈日比谷劇場は三八日間のロングランを記録〉。巷はオードリー・ヘップバーンを真似て、〈眉を濃く太く描いた髪の短いボーイッシュなスタイルの女性であふれた〉とある。

今年は、太い眉の大流行を女性誌やワイドショーが取り上げ、60年前が甦る兆候がすでに出ている。オークスもその流れの中にあると見て、注目はやはりハープスター。『ローマの休日で』オードリーが演じたのは「アン」王女だが、ハープスターの3代母は「アン」ティックヴァリューだ。


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