麻雀店、キャバクラなどが入居していた歌舞伎町の雑居ビル「明星56ビル」から出火したのは、2001年9月1日の午前1時前のことだった。

火は瞬く聞に燃え広がり、44人が犠牲となった。1つのビル火災の犠牲者としては戦後5番目の多さという大惨事だった。

現場検証では、出火元となったガスメーターが人為的な衝撃で落下していたことが確認され、放火も視野に入れた捜査が行われた。

捜査本部には、ビルに入居していた賭け麻雀店で負けた客が腹いせにやったなどという情報が寄せられたが、捜査は行き詰まり、真相はいまだに解明されていない。

捜査が進展しない一方で、問題視されたのが、ビルの防災管理の不備だった。事件当時、誤作動が多いとの理由で、火災報知機の電源が切られ、避難通路も荷物が山積みで通れない状態だったことが事件後の調査で発覚した。

さらに、窓には内装の板が張り付けられ、すぐに煙が充満したことが、要救助者44人の全員が死亡するという悲劇を生み出した。犠牲者の死因は、大半が一酸化炭素中毒だったのだ。

これを理由に、ビルのオーナーが業務上過失致死傷罪の容疑で逮捕、起訴された。しかし、被害者1人あたり2000万円の和解金を支払い、実刑は免れた(禁固3年・執行猶予5年)。

一方、現場のビル跡地はといえば、12年以上が経過した現在も新築ビルは建てられてない。惨事から実に8年後、ようやく跡地にプレハブ小屋の「射的屋」がオープンしたが、1年もせずに閉店。その後、韓国風居酒屋が同じくプレハブ小屋で営業を始めたが、ビルが再建される兆しはない。
「事件は解決しないし、ビルオーナーは実刑を免れたから、浮かばれない被害者の崇りのせいじゃないか」

そんな声が関係者の間で囁かれているという。

跡地は、商業ビルが建設中の新宿コマ劇場周辺に近いものの、再開発地区には入っておらず、買い手が現れてビルが建つには、さらなる時間を要するようだ。

もっとも、この事件を教訓に消防法、風営法が改正され、歌舞伎町のビルは規制強化され、火災での犠牲者は確実に減っている。

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