500円前後と、飲食店でのランチに比べ3割以上安い価格で食べられ、都心で働くサラリーマンに人気の路上販売弁当がピンチだ。食中毒などを懸念した都が販売に関する規制を強める方針を打ち出しており、大幅に値上げをせざるを得ない可能性が出てきたのである。

もともと路上販売は都条例で「行商」に分類され、保健所へ届け出をするだけで営業ができた。これを販売者は資格の必要な「食品衛生責任者」に限定し、弁当を運んだり売ったりする際に、クーラーボックスのような保冷容器の使用を義務付けようとしているのだ。この動きはそれだけにとどまらない。都では「衛生面を考えると、ビル内のフードコートのような場所で売ることが望ましい」ともしている。もしビル内で弁当を売るようになれば、当然テナント料がかかり、今までのようなお手頃価格で売ることは不可能になる。またフードコートといっても、そのような施設を都心にすぐ作れるわけではない。建物内での販売を促すことは、実質的に路上弁当業者を排除することになるのだ。

このような方針には、路上弁当のライバルである飲食店からの苦情も影響しているといわれる。都心の飲食店は高いテナント料のため、価格を高めに設定せざるをえない(平均800円〜1100円)。確かにテナント料いらずの安い路上弁当でお客を持っていかれては、面白くないだろう。サラリーマンの味方、路上弁当は姿を消してしまうのか? 今後の都の対応に注目したい。

本日の新着記事を読む