サッポロビールとライバル関係にある、大手ビールメーカーの担当者が言う。

「なぜ、サッポロの第3のビール『極ゼロ』に対して国税当局がノーを出したのか、さっぱりわからない。サッポロ側もその辺については、まったく説明しようとしないし……、いずれにしてもサッポロにとっては、大ダメージだろう」

先週4日、サッポロビールは第3のビールに区分される「極ゼロ」の販売を5月末の製造分で終了すると発表した。前述のコメントからも明らかなように、この1件を巡ってビール業界は、大激震に見舞われていると言っていいだろう。そもそもこのニュースのポイントは、国税庁が「極ゼロ」を第3のビールとして認めなかった、というところだ。

改めて説明するまでもないと思うが、ビール系飲料は、原料や製法の違いによって以下の3つのカテゴリーに分けられ、おのおの酒税上の税率が異なる。①ビール(麦芽の使用量が3分の2以上)②発泡酒(麦芽の使用量が3分の2未満)③第3のビール(主原料が麦芽以外か、発泡酒に蒸留酒を加えたもの)。

今回問題となった「極ゼロ」は、公表されている情報から判断すると「発泡酒に蒸留酒を加えた」というパターンだ。そうなると、添加した"蒸留酒"に何らかの税法上のルール違反が見つかったと考えていいだろう。いったい"蒸留酒"に何が使われたのだろうか。その点に関してサッポロサイドは、「商品開発の機密なので言えない」としており、まったくのナゾだ。

いずれにしても「極ゼロ」は、発泡酒として再スタートを切ることになりそうだ。その場合の価格は、350ミリリットル缶で20円程度上がることになるようだ。

ともあれ、サッポロビールの経営にとっては大ダメージである。そして、そのことで漁夫の利を得るのがキリンビールとサントリー。だとすれば、株式を公開していないサントリーは別として、キリンHD株は、夏のビール需要期を控え、まさに"買い"だろう。


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