「常軌を逸した行動だ」
小野寺五典防衛相が激怒した事件が起きたのは、5月24日のことだった。

「自衛隊機は、東シナ海の公海上を飛行していた。にもかかわらず、中国軍の戦闘機『殲11型』2機が、海自機2機に対して異常接近してきた。その距離は30~50メートルと聞いている。通常は接近しても数百メートルは距離を取るので、これは明らかな挑発行動であり、一歩間違えば衝突しかねない危険な行為だ」(自衛隊関係者)

それにしてもなぜ、中国軍は毎度毎度、こうした挑発行為を行うのだろうか。
「この日、中露両国は、東シナ海北部で"対日"を意識させる合同軍事演習を実施していた。追尾された自衛隊機は、その様子を公海上で監視していた」(前同)

中国海軍が異常スクランブルをかけるほど恐れたのにはワケがある。
「中国の野望は西太平洋を"わが海"にすること。そのために海軍力の増強に躍起だが、その戦力はまだまだ日米に及ばない。それで、潜水艦戦力に活路を見出している。要は、中国海軍は潜水艦中心ということ。その潜水艦の性能を丸裸にされることを恐れており、海自のP-3C対潜哨戒機や、電波データ収集機に張り付かれることを何より嫌っている」(防衛省筋)

その中国海軍の虎の子・潜水艦は63隻(うち、原潜9隻)。
海上自衛隊の16隻(原潜はなし)を数で圧倒する。

「ただし、大半が老朽化したもの。また、ノイズが大きく、潜水艦としてはステルス性能に致命的欠陥があります」(軍事誌記者)

今回、スクランブルをかけられた自衛隊機は、まさに"その恥ずかしい事実"を日の下に曝け出そうとしたのだ。

「その1機、海自のOP-3Cは、世界屈指の対潜哨戒能力を誇るP-3Cの改良型で、100~200キロ離れた遠距離から広域の画像情報収集に優れた能力を発揮します」(軍事評論家・神浦元彰氏)

一方、もう1機、空自のYS- 11EBは、2009年に北朝鮮がテポドンを発射したとき、米空軍とともに監視任務で活躍。

「日本周辺の不審レーダー電波や無線電波を収集・監視する電子戦機です」(前同)

この"たった2機"に、中国海軍はビビりまくり。
警戒を厳としているのは、自衛隊の戦闘機や護衛艦ではなく、こうした"裏方の任務"につく装備のようだ。

本日の新着記事を読む