5月29日に日用品製造の「白元」が、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。白元は社歴90年以上を数える老舗企業。「ミセスロイド」、「アイスノン」を始め多くのヒット商品を連発したが、2013年には売上高が激減。収益性の低いカイロ事業を売却するなど経営改善に勤めていたが、力及ばず今回の措置となった。

白元の創業は1923年。樟脳やナフタリンを原料とする防虫剤を売り始めると、これが大ヒット。1951年には蛍光塗料の白元を発売。後年、この商品名が社名となった。
1963年には冷蔵庫用の脱臭剤「ノンスメル」を発売。当時は高度経済成長の真っ盛り。冷蔵庫の販売もうなぎ登りで、それに合わせてノンスメルも驚異的な大ヒットとなった。また冷蔵庫で冷やす保冷パック「アイスノン」も白元の開発。氷を作る手間がかかり、ゴツゴツして当て心地のよくない氷枕に取って代わり、アイスノンは一気に家庭へ普及していった。

創業期を支えた防虫剤も洋服ダンス用の「ミセスロイド」を開発したり、使い捨てカイロが流行れば「ホッカイロ」でいち早く参入するなど、白元は常に新しいもの、ジャンルへ挑戦し続けてきた。化学製品以外では、靴下止めの「ソックタッチ」を1972年に発売。ハイソックスが主流だった当時の小中学生の間でブームになる。このソックタッチは一時廃れたものの、90年代のコギャルブーム時にルーズソックスに使われ、再びブームを迎えた。現在に至ってはニーハイを止めるために使われるなど、非常に息の長い商品となった。

他にも殺虫剤、入浴剤など積極的に新商品を開発してきた白元だったが、近年はヒット商品と言えるものがなく、経営は苦しい状態が続いていた。日本の家庭を支えてきた老舗であり、高いブランド力を持っていたが、残念ながら生き残ることはできなかった。白元の負債額は、申し立て時点で約255億円にのぼっている。

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