中国の就職戦線が日本のそれにまで影響を及ぼしそうだ。
「01年の教育改革以降、中国では大学の定員数を急増させ、01年当時115万人だった大卒者が今年は727万人と6倍もいます」(北京支局記者)

一時の勢いは衰えてたものの好景気を維持している中国。大卒者が急増しても就職先には困らない、と思いきや、実はそうではない。
「大卒者の採用は、国営企業などの幹部候補などキャリア採用が主。そのため就職口が限られている上、党や軍幹部の子息を優先的に採用する縁故組が大半を占めているのが現状です」(中国事情通)

このように大卒者に限っては就職氷河期なのである。
「直近の調査では大卒者の内1/3にあたる200万人超が就職できていません。また就職浪人となる大卒者は蟻族と表され全土で1000万人以上いるのです」(前出・記者)

彼らの一部は中国に進出している日本企業に就職し、工場労働などで生計を立てている。しかし最近では、中国人を幹部候補として採用する動きが出ている。
「本社で時間をかけて研修させてから現地・中国に赴任させる日系企業が増えています」(前出同)

こうなると割りを喰うのが日本の大卒予定者だ。自分が望む就職先のライバルが中国人という図式になるからだ。
「アベノミクスによって日本の大卒予定者の就職内定率は若干向上したといっても98年~03までの就職氷河期と変わらない80%前半です」(厚労省詰め記者)

また大企業は「景気が上向いたからといってキャリアの採用増はしない」(同)というだけに、幹部候補生を巡る争いは激化が予想される。

さらに懸念は尽きない。
「企業の機密情報の漏洩は国益にも直結する問題。中国人のキャリア採用でその危険度が高まることも考えられる」(全国紙社会部記者)
 
領土問題だけでなく就職戦線でも日中がシノギを削る時代なのである。

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