6年後の2020年に開催される東京オリンピックを利用した詐欺が多発している。
 国民生活センターによれば、五輪招致が決定した昨年の9月から今年6月までの9ヶ月間で、220件の相談があり、被害額は9000万円(6月5日時点)。
「国民の関心が高いオリンピックは、劇場型勧誘を働く詐欺グループにとって、扱い易いテーマ」(同センター相談情報部)だという。
 劇場型勧誘とは振り込め詐欺に代表される手口。複数の人物が登場し、金銭を振り込ませる詐欺のことである。国民生活センターに寄せられた実害の事例を見ていこう。

Case1
 近畿地方に住む80代女性が貴金属業者を名乗る業者から金塊へ投資を持ちかけられたという。直後、別の業者から「その会社は東京オリンピックに協賛している会社だから信用できる」といわれ、2回に分けて800万円を振り込んだ。しかし待てど暮らせど、金塊は届けられなかった。

Case2
 秋田県由利本荘市に住む50代男性宅に証券会社を名乗る男から電話があった。大手の建設会社がオリンピック施設を建設するため社債を発行するという。いずれ値上がりするといわれ2回に分けて1000万円を宅配便で送る被害を受けた。

「複数の人物を登場させ、安心感を与えるのが近年の詐欺の常套手段です。また社債などのケースでは大手建設会社の名前を聞けば、五輪施設の建設はするだろう、と安易に信用を誘っています」(某新聞・社会部記者)
 既にこうした投資話では、逮捕者が出ている。今年2月、オリンピック関連企業の未公開株への投資と偽り現金を騙し取ったとして警視庁生活経済課は、投資会社「サポートケア」の元社長ら8人を逮捕した。
「詐欺グループはテレビやネットで、その時々の関心事項を常にチェックしています。五輪詐欺は今後も関心が高く、被害は増加するでしょう」(前出・記者)
 オリンピックを開催する東京都も「必ず儲かると言って契約させるのは違法。絶対に契約しないで」と呼びかけている。

本日の新着記事を読む