6月22日の国会会期末を控え、永田町は不気味なほど静まり返っている。
それもそのはず。
閉会後、悪夢の"閣僚リストラ"が断行されるともっぱらなのだ。

「派閥の領袖にとっては派閥の所属議員が、また、(大臣候補と言われる)国会議員にしたら自分自身が、どういう処遇を受けるのか、固唾をのんで見守っています」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

2012年末にスタートした、第2次安倍晋三内閣。
現時点で、閣僚は1人として交替していない。
戦後の内閣としては初めて、同じ閣僚で発足500日を超えた"超安定政権"なのだ。

それが、なぜ今?

政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「現在、当選5回以上で入閣経験のない"大臣予備軍"が30人以上もいます。このままでは、彼らの鬱積した不満が"安倍降ろし"の動きにつながりかねません。そこで、安倍首相は国会閉会後に、内閣改造を決行しようとしているんです」

政権を長期的なものとし、悲願の憲法改正を叶えるためには、"ガス抜き"が不可避なのか。
有馬氏が続ける。
「現閣僚には目立った失言やスキャンダルもない。当初、最低限のメンテナンスで終わらせる予定だったが、難癖をつけ始めるとキリがなく、改造幅がどんどん広がっていきました」
今や、大臣のみならず、党三役にもリストラ対象は拡大。
妙な緊張感が漂っているのだ。

政治評論家の浅川博忠氏が言う。
「留任が濃厚なのは、菅義偉官房長官、麻生太郎副総理兼財務相、甘利明経済再生担当相、下村博文文部科学相の4人だけ。安倍氏にとって、麻生、甘利両大臣は盟友、下村氏は可愛い弟分、菅氏は磁石で言う"S極とN極"で、離れられない女房です」

つまり、4人以外はクビの懸念アリ。
そこで今回、本誌では徹底取材の結果、浮かび上がってきた「◯秘戦力外通告リスト」のヤバすぎる全容をお届けしよう。

まずは、石破茂幹事長。
「集団的自衛権行使」では、安倍氏の言う「限定容認」を矮小化と捉え、「全面行使」を押し通したい"軍事のプロ"。石破氏が政治資金パーティを開催するホテルに、安倍氏が立ち寄っても一切顔も出さない(5月19日)ほど、ギスギスした関係!

「12年の総裁選では、大量の地方票を獲得し、唯一、安倍首相に肉薄したライバルが石破氏です。政策通を自認し、農林水産行政、防衛面に精通した政策を持っていますが、今の幹事長という立場では政策に口を出せない。現状では"政高党低"で、幹事長の仕事もまともにできていません」(前出・鈴木氏)

いわば、幹事長とは名ばかりの"座敷牢(ろう)"だという。
それを"大臣予備軍"の玉突き人事のあおりを受ける形で、ヒラ議員に降格。

「幹事長には、菅官房長官が滑り込むプランが浮上している。今秋の福島、沖縄県知事選は自民が劣勢。負け戦の責任を石破氏に取らせてから解任との声もあるが、いずれにせよリストラは近い。来秋の総裁選出馬など、夢のまた夢です。徹底的に面子(メンツ)が潰される形で、ポストを引き剥がされるでしょう」(夕刊紙デスク)

同じく、12年の総裁選で安倍氏に惨敗した石原伸晃環境相もリストラ筆頭候補。
今年の3月には衆議院の環境委員会に遅刻。
折から、"福島第一サティアン"、反原発運動を"集団ヒステリー"と表現する失言ラッシュで問題視されていた。

「今や、本人が"辞めたい"と周囲に漏らしている状況。というのも、一昨年の衆院選、昨年の参院選では、自民の各派閥が議員数を伸ばした中、石原派だけが横ばい。派閥内の議員から"何をやってるんだ"と批判され、派閥を立て直す"閥務"に専念せねばならぬほど、追い詰められています」(前出・浅川氏)

前総裁の谷垣禎一法相も、"論功行賞人事"で入閣したまでで、続投は厳しい。
安倍首相の出身派閥である清和会関係者が、こう言う。
「谷垣氏は財務省とパイプがあり、消費税の10%への引き上げに消極的な安倍氏には、扱いにくい人ですから。当の本人も、来年の総裁選に向けての準備に専念したい。現在69歳、年齢的にも最後のチャンスです」

続いて、女性議員も"血祭り"に。
稲田朋美行政改革担当相、森雅子少子化担当相の2人は、口が軽く、入閣前から失言癖で周囲を困惑させてきた。

「2人とも、当選回数からしても破格の待遇で大臣になった議員です。丸川珠代氏、小渕優子氏、橋本聖子氏などが入閣し、入れ替わるのではないでしょうか。丸川氏は少子化対策担当で、大臣入門のお勉強。小渕氏は、かつて麻生内閣で少子化担当を務めたので、ステップアップし、総務相が有力。(元五輪メダリストの)橋本氏はズバリ、オリンピック担当相」(浅川氏)

党人事では、高市早苗政調会長も交代要員という。
「党内議員の政策を集約する立場であるのに、多忙を理由に議員から話を聞こうとせず、党内からも批判が噴出しています」(鈴木氏)

さらには、新藤義孝総務相もリスト入りだ。
「内閣府特命担当大臣として、地方分権を推進してきましたが、表立った活躍が見られない。それが解任理由とされていますが、"身体検査"のためともささやかれてます」(夕刊紙記者)

加えて、山本一太科学技術担当相も危ない。
保身からか(!?)、ブログで、〈安倍総理の一番スゴいと思うところ。それは、総理が周りの人間たちの評判も、過去の実績も、問題も、長所も、短所も、強み、弱みも全て把握し……(後略)〉と、凄まじきヨイショの連発。

むろん、総理の決断は、そんな些事では揺るがないだろうが……。


秋をメドに解散総選挙を遂行

ほかに挙がる名前は、"安倍降ろし"の筆頭格で、古賀誠・元幹事長が背後に控える岸田文雄外相。

茂木俊充経産相は、
「猟官運動に熱心で、さらに上のポストを狙っている」(自民党番記者)が、
「留任という話さえ聞きません」(浅川氏)という。

安倍氏と同じ山口県が地元の林芳正農水相も、
「参院議員なのに、衆議院への鞍替えを画策し、安倍さんとの軋轢を生んでいるんです」(前出・夕刊紙デスク)

かような人事を挙行し、万事を整え、すべてを吹き飛ばすほどの"激ヤバ手段"に打って出るとの話も飛び交う安倍氏。

全国紙政治部記者が言う。
「今秋をメドに、安倍首相が解散総選挙に踏み切ると聞いています。政権は順風満帆に見えるが、TPPや集団的自衛権、原発再稼働と多くの問題を抱え、次の総選挙までの2年間ですべて解決するのは困難。このままでは押し切れないと、冷静な判断を下したとか」

前出の有馬氏が言う。
「今、総選挙を行えば、分裂していて、まともに選挙協力ができない野党に対し、2年前の総選挙以上の大勝は目に見えています。つまりは、やり得。選挙大勝で、もう2年、時間を稼ぎ、諸問題をクリアしていく考えなんです」

永田町に粛清の嵐が吹き荒れる――。

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