「昨年、ヤクルトのバレンティンが60本のホームランを打って日本記録を塗り替えられたのは、こってりラーメンのおかげ。日本の食生活になじめたのが、彼の活躍を支えたと言っても過言ではありません」
とスポーツ紙のヤクルト番記者が語り、続ける。
「バレのとんこつ好きは有名ですよ。試合が終わるとよく神宮球場近くの『伝丸青山店』に直行します。だいたい、"醤油とんこつらーめん"大盛りに叉焼(チャーシュー)をWで追加。大男が最後の1滴までスープを飲み干す姿は、もはや神宮界隈の名物ですよ」(前同)

偉大なる王貞治の日本記録を破った助っ人外国人の成功には、こんな秘密があったというわけだ。

だが、「とんこつ大盛り!」と威勢よく食べて大成したのはバレンティンだけではない。
来日中の多くの助っ人たちが、世界に誇る"日本のB級グルメ"を堪能し、活躍しているのだ。
「バレンティンのススメにより、現在はケガで戦線離脱中のバーネット投手(ヤクルト)もラーメンにハマッた。札幌遠征したときには、ツイッターに〈味噌ラーメンを食べると幸せ~〉なんて書き込み、最近はとんこつを開拓中です」(同)

また、今季好調の広島投手陣を支えるバリントンも、来日以来、すっかり"麺の魅力"に魅せられている。
「広島の宮崎・日南キャンプには、地元名物の『直ちゃんラーメン』が球場に出張してくるんですが、濃いとんこつの匂いに誘われ、真っ先に席に座って大盛りを注文するのがバリントン。最近は"週4食はラーメンを食べる"と語るほど。ちなみに、広島の外国人は皆ラーメン好きですが、これは巨人に移籍した大竹寛が彼らに伝道したからです」(民放局ディレクター)

ちょっとクセはあるけど、食欲をソソるとんこつの匂い。スープを絡ませて食べると箸が止まらない……。
そんなソウルフードに感動し、今や球界一のラーメン番長となったのが阪神のメッセンジャー投手だった。
「メッセンジャーが、初めてラーメンを食べたのは、来日した2010年、初登板で打たれた夜でした」
と、夕刊紙野球担当記者は振り返る。
「落ち込んだ彼は、通訳に"オイシイ日本食、食ベタイ"と頼み、通訳は横浜の『吉村家』に連れ出したそう。元祖家系と呼ばれる濃厚とんこつに、彼は子どものように感激したんです。以来、当番前日には必ずラーメンを食べるようになり、今や彼の食生活を支えています」(前同)

東京遠征のときには品川にある『なんつッ亭』に、他地域への遠征の際は、全国展開チェーンの『天下一品』に通うという。
「奥さんと一緒に行くこともあるようで、夫婦揃って虜ですよ。彼に"ラーメン、好きだね~"って聞いたら、"大好き!でも、ボク、モヤシはちょっと苦手"と笑ってました」(同)

今でも『吉村家』はメッセンジャーのお気に入りで、行列ができているときは、巨体を丸めるようにして列に並んでいるようだ。

もちろん、助っ人外国人が食べるのはラーメンだけでない。
牛丼や焼き鳥など、日本人おなじみのB級グルメにハマる選手もチラホラ。
「日本の場合、B級グルメといっても、店はどこもきれいで衛生的ですからね。安心して行けることも大きいのでしょう」
と、野球評論家の橋本清氏が言うように、全国津々浦々、目撃談は絶えない。

遠征に吉野家弁当を4つ持参

その中でも、今季も打率3割超えで、猛虎打線の主軸を担うマートンは、自他ともに認める牛丼好きだ。
「マートンは『吉野家』の大ファン。遠征時には、新神戸駅前の吉野家で特盛を4つ買い、新幹線の中で全部平らげてしまう。彼のパワー源は間違いなく"吉牛"ですね」(阪神担当記者)

マートンには、こんな牛丼秘話も聞こえてくる。
「東京遠征から帰るとき、牛丼を買ったんですが、お腹が空いて新幹線の発車まで待ち切れなかった……。品川駅構内の地べたに座って牛丼をがっつき、その姿をファンに撮影され、ネット上に広まったこともありました」(前同)

マートン家の冷蔵庫にはいつも吉牛のレトルトがぎっしり。これを吉野家からプレゼントされた特製どんぶりで食べているという。
「筋金入りの牛丼好きですが、"最近はカツ丼も好きになった"と公言している」(前出・ディレクター)

巨人で活躍し、昨年楽天に入団したスラッガーのボウカーも牛丼好きの一人。
「すき焼き、焼肉なども大好きですが、遠征時は牛丼チェーンを食べ歩いているそうです。実は、かつて阪神にいたハンセルから、"日本食は健康にいいから食べなさい!"と助言されたことがきっかけだそう。その中でもしっくりきたのが牛丼だったわけです」(前同)

外国人助っ人の細かすぎるモノマネでお馴染み、お笑いコンビ「360(さぶろく)。モンキーズ」の杉浦双亮氏は、こう断言する。
「彼らは本当に日本の食べ物が大好き。往年の大物で言えば、元西武のデストラーデは焼き鳥を毎日食べ、元ロッテ監督のバレンタインは鮭茶漬けが大好物で、しっかり日本に馴染みました。しかも、ファンに愛され、結果も残したわけです」

日本人スラッガーが乏しい昨今の球界。日本のソウルフード不足なのでは!?

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