一口に企業、会社といっても、そこには様々な「ステークホルダー」がいる。今日の当コラムは、この「ステークホルダー」がキーワードになるのだが、この専門用語にドンピシャリはまる日本語訳がなかなか見つからない。とりあえず一般的には、“利害関係者”といささか強引に日本語に置き換えるケースが多いが、株主、従業員、経営者(役員)といったことを指す。さらに広い意味では、その企業が所在する地域の住民、というものまで含むとする見方もある。

さて、会社にとって最大の目的とは、事業(ビジネス)を営むことで利益を生み出し、その利益を前述の「ステークホルダー」に分配することにある、といっていいだろう。従って、儲けた利益をいたずらに社内に溜め込むことに、会社の目的があるわけではないのだ。

つまり、会社の存在意義とは、株主に対する配当、従業員に対する給料、経営者に対する報酬を極大化(最大化)することにあると考えてもらっていい。しかし、こうした考え方に違和感を持つ読者も多いのではないだろうか。とはいえ、それは仕方のないことだ。なぜなら、前述したような“考え方”は、あくまでも欧米的なものだからだ。ある意味で狩猟民族的な物の考え方といえるかもしれない。

これに対して日本的、農耕民族的な“考え方”は、「もしもの場合に備えて蓄えておく」ということになる。従って利益の大部分を分配するなどということはしないのだ。

こうしたことを踏まえた上で、日産自動車のカルロス・ゴーン会長兼社長が、9億9500万円の報酬を得たというニュースを考えてみると、全く違った風景が見えてくるのではないか。日産の最大株主は、フランスの自動車メーカーのルノーで、全株式の43.4%をルノーが保有している。つまり日産は、事実上、仏系企業なのだ。ルノーにとってみれば、ごく当然の報酬を支払ったということになるだろう。

今後、日本企業の国際化がどんどん進展していったならば、こうした高額報酬はごく当たり前のことになっていくはずだ。逆にそうした対応をとらない企業は、外国人投資家からそっぽを向かれてしまうだろう。

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