今回は、美容家であり、音楽プロデューサー、司会者であり、ゲイバー、美容室のオーナーでもある僕の友人、藤井ケインさんを徹底取材(笑)します!

「きゃ~怖いわ~徹底取材だなんて(笑)」
「ケインさん、宜しくね」
「ま~こちらこそ。いつも聞く側なのに、監督から聞かれるなんて~。今日はちょっと変な気分よね(笑)」
開口一番、場の雰囲気を和ませてくれたケインさん。
ケインさんは、10月30日に国立競技場代々木第二体育館で開催される、日本最大級の男性ファッション&音楽イベント『東京ボーイズコレクション』の司会者でもあるのだ。

「私の話はさておき、映画『東京』のモントリオール世界映画祭正式招待、おめでとうございます!」
「ありがとう。でも、今日は、ケインさんの取材なんだから、私の話はさておきはダメでしょ!?」
ケインさんは俳優として、私の映画にも出てくれたのだった。しかし、その動機が不純なのだ(笑)」
「映画に出演したら、私も世界の映画祭のレッドカーペットを歩けるって楽しみにしてたのに~、ちょうど仕事が入ってて、モントリオールに行けないのよ~。も~残念だわ~」 こんな二人の会話が永遠に続くと、取材の時間があっという間になくなっちゃうので(笑)、そろそろ本題に!」

「ケインさんが考える『東京』の魅力ってなにがありますか?」
「そうね~。人種のるつぼだと思うわね。正直、私みたいなゲイの人種の意見が、大きな声で言えるし、さらにそれが商売になる街でもあるわよね(笑)。それに、東京って世界的にも珍しい街だと思うんだけど、海外よりも東京の中にある”街”ごとに集まる人種やカルチャーがわかれてて、とっても便利だと思わない?」
「それは、具体的にどう言うこと?」
「ん~、例えば、若いタレントや芸能人を発掘したければ『原宿』とかに行けば良いし。ITや出版、権利関係の会社がたくさん集まる街といえば『六本木』のイメージかな……。あと、電化製品やアイドルカルチャーの発信地と言えば『秋葉原』とかね。」
「なるほどね~。」

「ほかにもあるでしょ? そうだなぁ~。24時間賑わってて、ゲイカルチャーやホスト、キャバクラとかなら世界有数の歓楽街としても知られる『新宿』だし。大人のショッピングを楽しみたければ『銀座』だしね~。やっぱり、これだけのカルチャーがきれいにジャンル分けされて、それぞれにまとまってる街ってなかなかないと思うのよね。世界にある色々な都市とも違うもん。もちろん、東京に比べて地方は単体ではやっていけない、っていうところもあるけどね。」
「そう言えば、ケインさんは何で東京に来たの?」
「それは、自分の意見を発信しやすい場所が東京だと思ったからよ。みんな誰でも、自分としてのメッセージを発信したがるけど、田舎ではそれが不自由だったの。子供の頃にそれを感じたわ。東京でなら『私』と言う人を素直に表現出来たし、それを認めてくれる数も圧倒的に多いからね」

ケインさんからは、映画『東京』のストーリーに関しても色々なアドバイスを頂いたのですが、本当に発想力豊かで凄いと思いました。
「ケインさんから湧き出る発想力って、一体どこから来るのかな?」
「私ね、”ミーハー”と”憧れ”が人一倍強かったのかも知れないわ。『もし私が映画監督だったら……』とか、いつも何かに憧れて生きてるから、映画のストーリーの事で助言してとか言われたら、もう本当に嬉しくて色々しゃべっちゃうの(笑)! ゲイとしての発想での提案もあるけど、自分をはじめて認めてくれた都市が東京だったから、タイトルが『東京』って言う映画にものすごく惹かれたところもあったわね~。私、田舎があまり好きじゃなかったのよ(笑)。だけど、自分を受け入れてくれて、認めてくれた『東京』に感謝したら、何故か田舎が好きになったの。自分を認めてくれる東京があって、田舎に帰っても堂々と自分を出せたら、田舎も愛せるようになったのね。あと、芸術の話をしてると、私が憧れてる人たちになれた気がして嬉しいのよ。映画のストーリーを助言なんてことはおこがましいけど、映画を作るメンバーに入れてもらえたって言うのかな~。普通じゃあ、有り得ないでしょ? そういういろんな大切なものに出逢わせてくれたり、気付かせてくれた、っていう意味でも東京には感謝してるわ。」

そんなケインさんの将来の夢を聞いてみた。
「将来の夢ねぇ~。男性のジャケットを着て、髭を生やし、マネキュア塗って、紅つけて大股で、カッポカッポ東京の街を歩いてる沢山のゲイをみたいわね(笑)」
「なにそれ?(笑)」

「恋愛も、仕事も、発想も、友人関係も、本当の意味で差別なく、世界の中でも自由になれる都市が東京だと思ってるの。宗教も超えてね。だから、私は、そこに生きていきたい」
「確かに、東京って、色々な意味で自由だよね」
「私ね、何にしても、好き嫌いや見た目、多数決で、良い悪いを決めないで欲しいってずっと思ってるのよ。反対しても良いし、賛成しても良いの。きちんと自分自身の意見を言って、自分の価値基準で相手を評価して欲しいわけ。だって、それがなきゃ、ただの『差別』になっちゃうでしょ? なんでもいったん受け入れて自分の中で消化してから、NO!ならNO!で全然良いと思うのよね。上っ面じゃなく判断して欲しいもんね」

「そう言えば、ケインさんは、本当に幅広く仕事をしてて、すごいね。本業は何?(笑)」
「滅相もない。私は、美容家でもあり音楽プロデューサーでもあり、ゲイバーや美容室もたくさん持ってるけど、私の理論を信じてくれた美容師さんがいたから美容室が増えたし、私の理論を信じてくれたゲイが増えたからゲイバーが増えただけの話よ。私の話に共感してくれた企業の偉い方が増えたから、顧問先が増えたの(笑)。田舎で暮らした幼い時の環境から受けた影響が響いてるのよね。そうだったからこそ、東京に出て来たし、はっきり物が言えるようになった。ゲイとしての視点で『東京』を見たら、また、変わった視点で色々見えると思うわ。」

「今日は、濃~~いお話(笑)、有難うございます。」
「どういたしまして。あと私、一言言っても良い?」
「何?何?」
「あのさ~。芸術なのに、映画とか、R指定とか、やめてもらいたいのよね~。セックスも愛の表現じゃない? それに対して『基準』があるところ。監督として、どう思う?」
「……。そうだね~。次会う時までに考えとくね(笑)」



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