日本政府は、先週4日の閣議で北朝鮮に対する日本独自の制裁に関してその一部を解除することを正式に決定した。

制裁解除となった項目を、以下に列挙する。
①人的往来の禁止については全面解除
②これまで300万円超の送金については報告義務を課していたが、制裁解除後は3000万円超に
③現金の持ち出しに関して10万円超に届け出義務を課していたものを100万円超に
④北朝鮮船舶の日本入港を全面的に禁止していたものを医療品や食料など人道目的に限り解除(ただし、万景峰号の入港については禁止)

つまり、一連の措置の意味するところは、日朝間の“ヒト・モノ・カネ”の移動を少しばかり緩くするということに他ならない。

とはいえ、こうした“制裁解除”を受けて北朝鮮サイドにどの程度の経済的メリットが見込めるのかというと、ほとんどゼロといっていいだろう。

その点に関しては、筆者を含め金融のプロならば、同意見であるはずだ。

だとすると、北朝鮮の狙いはどこにあるのだろうか。その最大の狙いは、日米韓による“北朝鮮包囲網”の一角を崩すことにある、と見ていい。日米韓の連携がスムーズな状態にあったならば、北朝鮮の試みは失敗に終わっていたはずだ。ところが、ご存知のように日米韓の関係は極めてギクシャクした状態にある。特に、日韓関係は最悪といっていい。北朝鮮サイドとしては、最高の攻め時と見たのだろう。

意外に思われるかもしれないが、“外交力”という点で、北朝鮮という国は日本よりも二枚も三枚も上。極めて外交上手な国だ。はっきりいって、現時点で日朝交渉の主導権は、北朝鮮サイドが握っているといっていい。

北朝鮮の次の一手に注目だ。


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