前回、新宿2丁目の代名詞とも言える(笑)藤井ケインさんを取材して、ふと、同じ”新宿”の街を舞台にした私の代表作『新宿ミッドナイトベイビー』を思い出しました。作家って面白いもんで、作品を書いてる時は、とても苦しいんです。でも、書き終わると、その苦しみは段々薄れていき、しばらくすると忘れてしまう……。私は少なくともそのタイプ。まるで出産みたい。とはいえ、勿論、出産を経験したことがないから詳しくはわかりませんが、たぶんこんな感覚だと想像しているわけです(笑)。
では話を戻しますね。この小説は、新宿2丁目と新宿歌舞伎町を舞台に、幼児虐待、無防備セックス、ドラッグなど、極彩色に輝く新宿ネオン街で、若者たちが壊れた玩具のようにハチャメチャに生きる、ピカレスクミステリー。今思えば、あの頃の私はとんでもない小説を書いていたもんだとビックリ仰天しています(笑)。
ただ、斬新な内容だったのか、物凄く売れたの(笑)。その後2年連続で舞台化されたり、今年は映画化もされたりと、何かと話題の作品なのですが、この作品の登場人物に”歌舞伎町のカリスマホスト”が出て来るんですね。
今回は、そんなカリスマホストを直撃したいと思い、ある人に連絡したら、快く引き受けてくれたので、早速、お話を聞いてみました。
カリスマホストとはいえ”元”であって、現在は、ホストクラブの代表で実業家としての顔も持ち、また、ファッションショーや映画に出演したりとマルチに活躍している、明神すばるさんです。
「早速ですが、すばるさんは、どうしてホストになったんですか?」

「実は、大学生の頃にアルバイトでホストをやったのがきっかけなんです。」

「大学では何を学んだんですか?」

「政治経済学部で経営学を学んでたんですよ」

「随分とお堅いところからホストになったんですね~。ギャップを感じますね(笑)!
 大学までいってホストになったきっかけって何だったんですか?」

「そうですね~。当時、なんだか普通に働いてるのがつまらなかったんですよね。それでホストクラブで働こうかな、という感じで。もともと、別にお金がそこまで欲しかった訳ではないし、女性にモテたいとかでもなかったですね。でも、ホストとして働くうちに、東京の中心である歌舞伎町で、自分がどれくらい凄いのか試してみたいなぁ、なんて思ってきたんです。自分は何のために生きてて、誰の役に立つのか。誰が自分を必要としてくれるか、誰かに必要とされるのか。それがすごく大事なことなんだと思ったんです。」

「今のホストと昔のホストって、何か違いってありますか?」

「今って、コンビニのアルバイトで働く感覚で気軽に入ってきますよね(笑)。片手間って感じかな。あとは、アイドル産業に近い感じがする。今、売れてる子って、そんなに話さないし、酒の飲めない子も多いんですよ。アイドルと一緒で、PRの仕方や演出でどうにかなっちゃう部分もある。昔のホストって、”アウトロー”ってイメージだったでしょ? 実際確かにヤンチャだったですしね(笑)。飲んで、話して、毎晩騒いでましたね。それを想えば、総体的には今の子の方が会話力、対応力は低いと思います。」

「なるほど。ホストが変わったとすると、それと同時にお客さんも変わるものなんですか?」
「そうですね。昔はいわゆる女の子の中での”アウトロー”、同業者のお水商売のコたちが中心だったけれど、今は普通のOLのお客さんも多いですからね。」


「すばるさんの将来の夢はなんですか?」

「常に新しい分野にチャレンジしてる自分でいたいと思っています。今は、現役のホストではなく運営側にいますが、これから後継者を育てたいですね。何でもそうですが、人との出会いが人生を大きく変えちゃうケースってありますよね? だからこそ、自然体で、自分を作りすぎないことが大切だと僕は思っていますけどね」 

「ありのまま、ってことですね。でも、ホストって、とても稼げるから、一度やったらやめられないでしょ?(笑)」

「そうですね(笑)。でも、一攫千金を狙うよりは、積み重ねた結果で高い報酬をもらうと言う発想がとても大事だと思ってるんですよ。」

「意外と堅実な発想が大事ということですね。ところで、普段は何してるんですか?」

「昼間はホストクラブ経営以外の別の仕事もしてますし、だいたい午前中から動いたりしてますね。ホスト業界だからって午前中ずっと寝てる、なんてことはないですよ。」

東京の魅力を聞いた時、すばるさんは、「チャンスが沢山ある街」と答えてくれました。確かに、東京は、地方に比べて、沢山人がいるし、仕事もあります。それを手にしていくには、やはり、自然体で平常心で生きていなきゃダメだと、すばるさんの話を聞いて改めて感じました。

今日、あなたの人生を変える「特別な人」に出会うかも知れません!
東京って、そんな不思議な街だから……。




◆明神すばるさんが代表を勤めるお店
TOPDANDY 1st
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