今後、外食業界では、これまでに経験したことがないような“ボーダレス化”が進展し、競争がさらに激化していくことになるはずだ。

その予兆ともいえる動きが、牛丼チェーン大手の「吉野家」が店内に居酒屋を併設するという計画を公表したことだ。これまで外食チェーン各社の多くは、多ブランド展開を軸に、マーケットの開拓に動いてきたといっていい。例えば、前述の「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス社は「吉野家」以外にも「京樽」、「三崎丸」、「どん」、「はなまる」などを運営している。外食業界の中で“大手”に区分される企業の多くは、これまでこうした多ブランド化を武器に、急ピッチで業容を拡大させてきた経緯がある。

そして、お気づきのことと思うが、ここでいう“多ブランド化”とは、提供する料理のカテゴリーごとにブランドを設定するスタイルだ。つまり、寿司だったら「三崎丸」、讃岐うどんだったら「はなまる」というブランドで展開する営業方法だ。ところが、この多ブランド化による成長戦略も、ここへきて限界に達しつつあるのが実情のようだ。

「確かに吉野家HDの傘下には、居酒屋チェーンはありません。これまでだったら新たなブランドを立ち上げ、マーケットに参入していたはずです。しかし居酒屋マーケットは、外食業界では最も競争が激しく、マーケットそのものも飽和状態に陥っており、新たに参入するというのも相当にリスキーであることは間違いない。そこで、今ある施設を活用しようということになったわけです」(吉野家HD幹部)

もし、吉野家のこうした試みが成功したならば、ライバル各社も雪崩を打ってこの種のスタイル、つまり“ボーダレス化”の営業スタイルを取り始めることになるだろう。

とはいえ、主として居酒屋業態を展開している三光マーケティングフーズ社が「東京チカラめし」という新たなブランドを立ち上げ、牛丼マーケットに殴り込みをかけたが、最終的には惨敗したケースもある。

果たして、吉野家HDの試みは成功するのかどうか。ライバル各社の注目が集まっている。


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