"一強多弱"の永田町勢力図に、微妙な変化が起きている。

「集団的自衛権の行使容認を閣議決定して以降、わが世の春を謳歌していた安倍政権に向かい風が吹き始めたんです」(全国紙政治部デスク)

それは、政権支持率に如実に表れた。

読売新聞社が先日(7月2、3両日)行った緊急全国世論調査で、なんと、内閣支持率が前回調査(5月30日~6月1日)から9ポイントも急落して48%に。

「第2次安倍政権発足以来、初めて支持率が5割を割って、与党関係者はかなりのショックを受けています」(前同)

ちなみに、同時期に実施したJNNの世論調査でも、内閣支持率が同社前月調査から10・9ポイント下落して52・4%となった。

ここまで飛ぶ鳥を落とす勢いだった安倍政権の前途に、不気味な黒雲が立ち込め始めたのだ。
いまや安倍政権幹部たちは、今後に"火種"となりうる問題に戦々恐々としているという。

本誌は今回、その中から政権が国民にひた隠しにする、
発火間近の「10の問題」を明らかにする。

まずは、近い将来、政治学者たちが「安倍政権凋落の主因となった」と口を揃えるかもしれないのが、1.集団的自衛権の"強行容認"(7月1日、閣議決定)だ。

「閣議決定で憲法解釈を変更するのは姑息。本来は、国民投票などの"正式"手続きを踏んで憲法改正を行うのが政治の常道です。ただ、その手続きを踏んでは敗北必至と断じた安倍首相が、閣議決定という安易な方法で憲法の基本原則を捻じ曲げてしまったんです。我々、党内ハト派も、強引にねじ伏せられてしまいました」(ハト派の自民党中堅議員)

これには「立憲主義の破壊だ」との反安倍世論が巻き起こり、市民によるデモや反対集会が続発。
それが冒頭の世論調査結果ともなって表れたと言える。

しかし安倍政権離れは、これだけではなかった。それが、2.友党・公明党との間に決定的亀裂が生じてしまったこと。

「平和を結党理念とし、安倍政権の暴走に歯止めをかけると期待されていた公明党ですが、最終的には"下駄の雪(踏まれても踏まれてもついていくの意味)"で、安倍政権の言いなりになってしまった。とはいえ、同党の支持母体・創価学会員の中には、"平和の党は死んでしまった"と歯噛みしている人も少なくありません」(テレビ局与党担当記者)

これまで安倍政権を支えてきた布陣に、大きな綻びができたことになる。

「近い日、これが"蟻の一穴"となって、安倍政権崩壊のキッカケになる、との声も聞こえています」(前同)

次いで、安倍政権の"高転び"要因になると囁かれているのが3.北朝鮮・拉致被害者奪還問題だ。

5月29日、突然、安倍首相は
「日本と北朝鮮との政府間協議で、北朝鮮がすべての拉致被害者に関して全面的調査を約束した」
と、記者会見を開いた。

「これまで振り回され続けてきた拉致被害者家族は言うまでもなく、全国民が解決を望んでいる。長らくこの問題に取り組んできた安倍総理だけに、これまでとは違う期待感が漂っています」(前出・デスク)

ただし、相手は海千山千の"ならず者国家"。
「北朝鮮の行政組織はガチガチの縦割り。今回の調査主体が、北朝鮮国内で力を誇る国家安全保衛部とはいえ、組織の枠を超えて必要な情報収集ができるかどうかには、大きな疑問符が付きます」(軍事評論家・古是三春氏)

例によって、北朝鮮の嘘八百に踊らされたあげく、大山鳴動して鼠一匹――の可能性も否めないという。

「安倍首相は、すでに"朝鮮総連本部競売停止"や"万景峰号入港禁止解除"など数々の密約を北朝鮮に与えたとの噂も流れています。なのに、結果が巷間言われている北朝鮮の思惑、"数名の拉致被害者帰還と、横田めぐみさん長女の11月訪日"だけで終わってしまったら、全拉致被害者の帰還を期待していた日本国民の怒りは爆発するでしょう」(北朝鮮ウォッチャー)

期待が高い分、逆風は想像以上に凄まじいものになるリスクを負っているわけだ。

一方、4.東アジアを巡る外交も、安倍政権にとっては、いつ破裂するかもしれぬ危険な時限爆弾だ。

領有権を巡り日中が揉める尖閣諸島の問題や、反日色を強める朴槿恵大統領からの"口撃"など、安倍政権成立後、トラブル続きの東アジア情勢。政治評論家の本澤二郎氏は危機感を露わにする。

「対韓国、対中国外交は完全にストップ。なかでも、安倍政権の対中敵視政策は異常とも思えるほどです。現在、世界を見渡せば対中擦り寄りが顕著。ドイツのメルケル首相など、すでに7回も訪中。経済面での連携強化にまい進しています」

対中敵視政策は、経済関係だけに絞れば損失は計り知れず、安倍政権へのボディブローになるという。

「頼みのオバマ米国も、ここにきて対中接近が顕著です。あろうことか、今後、国際秩序の運営で、米中2国が主導的役割を果たす"新型大国関係"の構築まで、口に出し始めています」(前同)

対中包囲網一直線の安倍首相だが、近い将来、"世界の孤児"の恐れすらあるのだ。

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