アベノミクスについに陰りが

安倍政権が抱える爆弾は、外交だけではない。
国内を見回しても問題山積だ。

まずは、懸案の5.TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題だろう。

「農産物自由化を前に、安倍首相は農業改革を高らかに宣言しました。その"1丁目1番地"がJA全中(全国農業協同組合中央会)の見直しでした。

官邸は廃止を目論んでいたが、農協は自民党の集票マシーン。
党内の農水族議員の激しい抵抗に遭い、安倍農業改革は完全な骨抜きとなってしまいました」(全国紙農水省担当記者)

ただ、事はこれでは済まなかった。
牙を剥いた安倍首相に、農協関係者の間に強い怨念が残ったのだ。

来年4月の統一地方選で、
「過去、地方選に敗れた政権がいかに哀れな末路を辿ったか、目にもの見せてやる」
と、農協関係者は意気込んでいるという。

さらに深刻なのが経済。安倍政権のお題目である6.アベノミクスに陰りが見え始めている、というのだ。

「株価連動内閣と揶揄されるほど、安倍政権は株価吊り上げに必死です。先だっては、年金基金を株投資に振り分ける"政策"(世紀の愚策との声も)も決定。そんな必死の安倍政権を横目に、消費増税後の企業決算が出揃う今月末の統計数字次第では、売買シェアの6割を占める外国人投資家が手仕舞いするとも囁かれています」(投資関係者)

結果、株価急降下でアベノミクス終焉……そんな物騒な話が、兜町界隈で口端に上り始めているのだ。

そのアベノミクス、庶民からも見放される日は近いと断言するのは、評論家の小沢遼子氏だ。

「アベノミクス最大の眼目である行財政改革は、まったくの手つかず。結果、庶民生活は食品価格の高騰と実質所得の低下で、火の車の日々です」

追い打ちをかけるように、来年には消費税が10%に上がる予定。
この消費税、IMF(国際通貨基金)からは「最低でも15%に」と日本に勧告と言う名の"強制命令"が出ている。

つまり、今後、7.消費税が10%で済む保証はどこにもないのだ。

「給料があまり上がらない中小企業や派遣労働者、さらに年金生活者らは今後、どうやって生活すればいいのでしょうか?不安を通り越して、恐怖すら感じる毎日です」(前同)

結果、これまで沈黙を貫いていた会社員からも怨嗟の声が上がり始めている。

「消費税アップに加え、あの悪名高きホワイトカラー・エグゼンプション、別名"残業代ゼロ法案"が現実のものとなって我々を襲おうとしています」(都内の中堅会社労組幹部)

この残業代ゼロ法案、当初は「年収1000万円以上で、高度な職業能力を持つ」(給与所得者の4%)と限定されていたはずだったのだが、すぐに化けの皮が剥がれた。

「経済界から"最低でも全労働者の10%は適用される制度に"との要請を受け、安倍政権は来年の通常国会で労働基準法の変更を目指すと言います。同法案が成立し、運用の運びとなれば、巷ではうつ病や過労死などが、今まで以上に社会問題化するのは確実です」(前同)

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