それから32年後の現在、「人類の居住に適さないレベル」と指摘されるほど深刻な大気汚染が続いている北京市及び周辺。肺の奥まで入りやすい微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染指数が、最悪レベル(危険)の値である600近くを超える日も続出。呼吸器系疾患などの健康被害も相次いでおり、当局の対応の遅れに対する市民の不満が高まっていた。

そんな中、北京周辺の河北省張家口市に「遠距離除塵機」と呼ばれるPM2.5を一掃する専門車両が投入された。またの名を「スモッグ砲」。この期待を背負った装置は、秦皇島市の会社が鉱山や建築現場などで使用されている粉塵除去装置に基づいて開発したもの。スプレーから霧が噴射され、空気中の汚染物質と結合して地面に落下し撃退する仕組み。射程距離は40~120メートルで、長さ100メートル、高さ60メートルの範囲をカバーできるという。

中国環境保護省の測定によると、この装置は空気中のPM2.5の濃度を約15~20%低減させるそうだ。
しかし、大気汚染に高い関心をもつ市民からは「場当たり的対応」と批判する声も多い。専門家もPM2.5は地面から200~300メートルの高さまで及んでいるため、高さ60メートルまでしか届かないこの装置は「役に立たない」と指摘。見た目は派手な「スモッグ砲」だが、どうやら見掛け倒しの張りぼてだったようだ。

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