7月20日午前、福岡県の九州自動車道を走っていた西鉄高速バスが、男にバスジャックされた。男は運転手に刃物をつきつけ、別の行き先に向かうよう脅迫したが、福岡県警は乗客乗員合わせて24名のうちひとりのけが人も出すことなく、男の身柄を拘束し現行犯逮捕に成功した。

事件解決のきっかけとなったのは、バスの「SOS表示」による通報と、バス会社による通報システム。2000年、西鉄高速バスは同じ九州で死傷者3名を出すバスジャック事件を経験。その苦渋の事件後、西鉄バスの車両には緊急時掲示板に導入、バスジャック時の訓練マニュアルも作成された。今回はその対策が生きた形だ。

犯人の男(26)は、バスが太宰府付近の停留所に停車中、運転手にナイフを突き付けて「まっすぐ行け」「(行き先表示を)回送にしろ」などと運転手を脅し、九州道を熊本方面に進むよう指示した。

しかし、運転手は冷静だった。
事件発生後間もなく、午前11時10分頃に緊急連絡装置をさりげなく押して会社に伝えるとともに、車両後部に「SOS」を表示させた。さらに運転手は無線で「バスジャックされた。まっすぐ進めと言われた」と本社に短く、一言だけ伝えたという。

この「SOS」表示を見た人の通報が県警に多数あった模様で、ツイッターでも多くの人が「SOS」を出しながら走るバスの写真を投稿。パトカーや救急車がバスに追走していく緊迫した様子がリアルタイムで拡散された。

その後、渋滞でバスが減速した際に、乗客が非常ドアを開けた。その時に出る警報音に「なんの音だ」と犯人が反応。運転手はとっさに機転を効かせ「なんだろう、外に出ないとわからない」と答えたという。

その後、犯人の指示で運転手が降りたところに、バス後方の車両にいた機動捜査隊員が突入、犯人の男は逮捕された。

ハリウッド映画等でも題材にされるバスジャックだが、ここ日本ではほぼ確実に失敗するだろう。運転手の勇気と機転に拍手!!

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