かつては国を滅ぼすほどの猛威を奮っていた伝染病であるペスト。表舞台から消えて久しいこの病気が中国の北西部で確認された。これは中国崩壊の序曲なのか。詳細を追ってみよう。

甘粛省政府によると、玉門市で23日までに男性がペストに罹り死亡したという。地元からの報道によると、当局は同市に通じる高速道路や幹線道路を封鎖するなどして、市民ら約3万人を事実上隔離。北京の日本大使館はペスト流行地域に立ち入らないよう邦人に注意を呼び掛けた。まるで映画「バイオハザード」や「ゾンビ」並みの政府対応に緊迫感が走る。

男性は15日にペストの症状が出て、16日に死亡。大型のリスのような野生動物の死骸を飼い犬に与えていたという。当局はこの男性と密接な接触があった約150人に対して予防薬を投与するなどして対応した。

そもそもペストとはペスト(害虫)菌の感染によって起こる伝染病のことである。ネズミなどの齧歯類(げっしるい)の間に流行が見られる病気で、ノミを介してヒトに感染する。13~14世紀のヨーロッパで大流行し、高い致死性を持っていたことや罹患すると皮膚が黒くなることから黒死病とも呼ばれた。現在では抗菌薬のおかげで、早く治療さえすれば昔のように怖い病気ではない。だが歴史を紐解けば14世紀の大流行が、当時隆盛を誇っていたモンゴル帝国を滅亡へと導いた史実がある。これを鑑みれば、今回の事件が中国崩壊の序曲だとしても、決して大袈裟な話ではない。今後の動きに注視が必要だ。

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