弟分のケガに黙っていられない! 高校球児を酷使から守ってやれ!! 球界よ、彼の言葉に耳を傾けろ。

7月14日、メジャーリーグ・オールスター戦の前日会見。

お祭り気分を一掃するかのように、レンジャーズのダルビッシュ有(27)が"内角をえぐるストレート"を米球界に投げ込んだ。

ヤンキースの田中将大が右肘靭帯部分断裂で戦線離脱したことについて、「登板間隔が一番大事だ。(中4日の登板間隔は)絶対に短すぎ。中6日あれば(肘の)炎症は取れる」

メジャー流の先発ローテーション中4日制を堂々と批判したのだ。

一部の米国スポーツ・メディアは、田中の故障の原因を「スプリットを多投しすぎたせいだ」と報じたが、これもバッサリ。

「フォークは肘にくるが、スプリットくらい(握りが)浅ければツーシームと変わらない」(会見での発言)

さらに、こう続ける。「選手をプロテクトしたい(守りたい)んだったら、もう一枠、先発用の枠を作ったほうが中5日で楽に回れる」(同)

まさに、米球界の構造を根底から否定する発言で、ノムさんこと野村克也氏のボヤキを超えたインパクト。

元メジャーリーガーで、日本ハムの投手コーチ時代には、ダルビッシュを教えた経験もある野球評論家の吉井理人氏は、一連の発言を受けて、こう話す。

「もちろん中6日のほうが、疲労が取れます。ただ、メジャーには中4日を苦にしていない投手も多い。私がメジャーで投げていた頃、故障者リストで外れていた投手が戻ってきたことで、監督から6人ローテーションを打診されたことがあったんですが、私以外の投手は、全員、ノーと答えていました」

伝統的に中4日のローテが根付いているだけに、すぐにシステムが変わるわけではないが、今回のダルの発言で全米が揺れた。

米ニューズデー紙は〈6人ローテーションはトミー・ジョン手術の危機を救うか?〉との見出しで記事を掲載。ダルの発言が米球界を変える引き金になるかもしれない。

ダルはこれにとどまらず、"猛毒発言"を連発。彼のツイッターに、一般人から〈ダルさん!テイクバックなんですが、少し上原さんを参考にされていますか?解説の方が言ってましたが〉という投稿が寄せられると、〈違いますね。上原さんとはタイプが違いますし〉と否定。

解説者に対して、〈勉強不足はわかる人にはわかります。そして勉強不足な人が多い〉と、苦言を呈した。

また、他球団の投手同士が変化球の投げ方を教え合ったりすることに疑問を持つ人がいることには、呆れ気味にこうつぶやいた。

〈そういう人達は時代が流れてる事を知らない〉

この言葉について吉井氏は、日ハム時代のエピソードを交えて解説する。

「ダルビッシュは、練習中に、ほかの投手がすごい変化球を投げると、"それって、どうやって投げるんですか?"って目を輝かせながら聞いているんですよ。本当に彼は好奇心が旺盛です。普通の先発投手は集中しているので、あまりベンチで話さない。だけど、彼だけは僕のところに来て、"今の配球は、どうでしたか?"とか、"フォームは変わっていませんか?"って聞いてくるんです」

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