ソレを卑猥なモノとして見るか、アートとして捉えるか…。欧米では表現の自由を尊重するが、日本では事情が違う!?

「マン拓データで逮捕!」
こんな衝撃的な見出しがマスコミを騒がせたのは、7月12日のことだった。

女性器の3Dデータを配布したとして、芸術家のろくでなし子氏(42)が『わいせつ電磁的記録頒布』の疑いで逮捕されたのだ。

「おもに裏DVDの販売業者が逮捕される際の罪状なんですが、営利目的ではない、ろくでなし子氏に適用されたことで話題となりました。著名人からも、"彼女を逮捕するのはおかしい"という声が沸き起こっています」(夕刊紙記者)

ろくでなし子氏は、昨年6月、自身の女性器を3Dスキャンして、女性器型のボートを作ることを計画。
ネットで制作費の支援を募り、3000円以上募金してくれた人に、自身の女性器の3Dプリンター用データを提供したのだ。

「このデータを3Dプリンターに入力すれば、立体的なマン拓を作ることができるんですが、当局は募金が実質的なわいせつ物の販売代金だとして逮捕したんです」(全国紙社会部記者)

逮捕後、インターネット上では「即時釈放」の署名が1万人を超え、日本中で「女性器論争」が吹き荒れた。

そんな中、7月18日に東京地裁が、ろくでなし子氏側の準抗告を認め、釈放されたのだった。

ビートたけしは夕刊紙『東京スポーツ』紙上で、〈顔拓は良くてマン拓が悪いというのはわからない〉と嘆くと、タレントの伊集院光はラジオで、「彼女の肩書きを"自称芸術家"として、いかにも"エロ目的で売ろうとしている"という印象を与える報道姿勢に違和感を覚える」と苦言を呈し、脳科学者の茂木健一郎氏も「芸術表現の公権力介入は抑制的であるべき」と批判。続々と声明文が発表されたのだ。

しかも、こうした論争は日本だけにとどまらず、海外に拡散し、もはや世界的大論争に発展。
海外の大手メディアも、この逮捕劇を大々的に報道している。

米テレビ局のCNNは、《ポルノ産業が盛んで、浮世絵など性的表現が寛容だと思っていた日本で、女性器の3Dプリントデータを支援者に送っただけで逮捕されるとは驚き》と問題視する報道をし、イギリスの大手紙『ガーディアン』でも、《ペニス祭が行われている国で、女性器が取締り対象になったことは意外》と大きく取り上げている。

ちなみに、この「ペニス祭」とは、神奈川県川崎市金山神社で毎年開かれる「かなまら祭」などを指す。
この祭は、男性器型の神輿を担いで練り歩く、いわば男根崇拝のお祭りだ。

今や、ろくでなし子氏は世界中で話題の中心になったわけだが、いったい、どんな人物なのか。

彼女と仕事をした雑誌編集者が次のように解説する。
「彼女は"女性器が卑猥なものという扱いをされているのが納得できない"として、自分のマン拓にデコレーションする"デコまん作家"として活動するようになったんです。作品は、メディアでもたびたび取り上げられ、国内での展示会だけでなく、米国のアートフェスティバルにも作品を出品。この1~2年は海外でも注目され、イギリスのアート雑誌やオランダのテレビ局から取材も受けていました」

作品の素材こそ女性器だが、その活動を見ても、ただの"わいせつ物販売業者"ではないことは確かだろう。

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