アベノミクスの"第三の矢"、成長戦略の一環として、自民党の日本経済再生本部がまとめた日本再生ビジョン。

その中に「プロ野球16球団構想」が盛り込まれ、大きな波紋を呼んでいる。
現行のセ・パ12球団からなるプロ野球に、新たに4球団を加え、16球団にしようというもので、「セとパを東西2つの地域に分け、4地域の勝者によるディビジョンシリーズを行い、勝ち上がった球団が日本シリーズで対決する、という構想です。すでに4球団の本拠地として北信越、静岡、四国、沖縄が候補に上がっています。安部首相も"地域活性化に役立つのではないか。私は賛成"と乗り気です」(スポーツ紙記者)

確かに、夢のある構想ではある。だが、実現へのハードルは決して低くない。

「プロ野球の球団経営は巨人、阪神の人気2球団を除けば、どこも実質赤字と言われています。細かい数字は公表されていませんが、おおよそ年間20億~40億円もなる球団の赤字を、親会社が広告費の名目で補填しているのが現状です」(スポーツ紙デスク)

また、一度に4球団も増やした場合、選手をどうするかという問題もある。

「球団の実力に差がありすぎたら、リーグが成立しません。当然、各球団の所属選手をシャッフルして再分配することになるでしょうが、既存の球団がそれを了承するとは、とても思えません」(野球専門誌記者)

そもそも、その4つの地域で、球団経営に乗り出す企業があるのか、という根本的な問題もある。「関西独立リーグ」は昨年消滅したし、「四国アイランドリーグplus」「BCリーグ」といった独立リーグの経営が、青息吐息なことはよく知られている。そんな事情もあって、球界関係者の多くは「16球団構想」に否定的だ。

「ただ、楽天の星野監督は"小さくしたらプロ野球は活性化しない。国民を喜ばすという理念には賛成"と話しているし、DeNAの中畑監督も"球界にとってありがたい話。ただ、レベルが下がっていけない"と条件つきで歓迎する意向を明らかにしています」(スポーツ紙記者)

いずれにせよ、政治家の思いつきで、プロ野球が左右されるのはいかがなものか? 疑問は残る。

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