なるほど、ものすごく説得力ありますね!徹底して好きなモノ、好きな食べ方を極めていらっしゃるのも粋ですよね。ちなみに、コレをまず食べてみればその店の美味しさがわかる!なんていうモノがあれば、ぜひ教えてください!

まずイカやね! イカは1年中どこにでもあるのよ。冷凍しても解凍しても美味い。だからまずイカを食ってみんのよ。コリコリした新鮮なのを出すのが好きなのか、2,3日寝かせた味のあるイカ出すのが好きなのか、それで店の好みがわかる。九州はだいたいコリコリ派の大将が多いかな。メロンもそうだけど、何日か置いたほうが甘くなったり熟成する。

たまに東京で「今日は食べ頃です~」って言われて、どう考えても売れ残っただけやろ、っていうのもあるけどな。あとサザエでもなんでも「煮てみました」「焼いてみました」とかいうけど、それも怪しいよ。煮る必要があった、ってことやから。イカやカンパチは海の遠い近い問わずどこにでもあるから、18時くらいの時点で他に客もおらんのに「切らしてます」っていうのも怪しい(笑)。

いい寿司屋・だめな寿司屋を判断するなら、まず入り口が清潔じゃなきゃあかんね。あとはカウンターのケース真ん中にメインの一番美味しいモノ置いてるかどうか。スポーツ新聞や漫画が置いてあったり、TVがある店なんかは、まあ普通レベル、そこそこの店やろね。

なるほど!ご自身でお寿司屋さんも経営されてるだけに着眼点も、もはや寿司評論家ですね。経営者としてのお寿司屋さん、ってどうなんでしょう?大変なことはありますか?

まず仕入れ・流通に毎日お金がかかるから、最初に1000万は運転資金を用意しなきゃいかんね。相場にも左右されるし、本気で自分が修行して板さんになって経営する、っていうんやったらいいけど、金をだして経営するのはやめたほうがいい! まあ、そういう俺がやってるから説得力ないけどな(笑)。
まず、本当に良い職人は自分で店をやるからな。

寿司屋の大将は頭が良くないとアカンよ。寿司を握るのはもちろん、他の料理がつくれないとダメやし、前回の来店時に何を出したか覚えてなきゃあかんし、客さばきも出来ないと。

全部できる人はなかなかおらん! 作らしたら上手いけどしゃべりが苦手や、とかね。うちの中洲の店でも、ひとり料理がすごく上手い奴がおるけどしゃべらへんからな。話してばっかでつくるの下手な奴とかもおるし。料理を作るのも下手、しゃべるのも下手、おまけに年もとってるんやけど、顔がオモロイからカウンターに出してる奴もおるけどな(笑)。

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