彼女は子どもの頃、自分が際立つ美人でもなく勉強もスポーツもぱっとせず、金持ちの子でもないのを悩み、悶々としていたそうだ。私もその気持ちは、大いにわかる。
取り柄のない地味な子がなんとかして目立とうと思ったら、不良になるか病弱を装うか、霊感があるというしかなかったというのも。彼女は、最後の手段を取った。

「夏休み明けの二学期からですね。見えないのに見える、感じないのに感じる、嘘ばかりついているうちに、だんだん本当に変なものが見えたり聞こえたりするようになった。

私を霊感少女と信じた近所のお兄さんが、逃げた女を探してくれなんていってきて。なぜかそのとき、爪を真っ赤に塗った足がちらっと見えたんです。

男の足と、絡み合っていた。でもなんだか怖くて、男の足と、っていうのは省いて伝えました。お兄さんは興奮して、『当たってる。あいつは男と逃げたな』と叫びました。
『あいつは普段は手の爪しか塗らないけど、男ができると足の爪も塗るんだ』なんていって、ますます私は評判になりました。

それからふうっと、近くに鉄塔があって水産加工の工場がある場所が浮かびました。全裸の女の人も浮かんだ。全身真っ白なのにも足の爪だけが真っ赤。
それをいうとお兄さん、『そこわかる。あいつの客だったワルの社長が所有してる土地だ』なんていい出して。本当にお兄さんの彼女、全裸でそこに埋められてたんですよ。

その後からひどい悪夢にうなされたり、自分でも止められない奇声を上げ続けたり、自傷行為に及んだり、親に入院させられました。それですっかり、懲りました」
引っ越して転校したのを機に、二度と霊感があるなどと嘘はつかなくなった。精神的にも落ち着き、もう妙な霊感は働かなくなったという。


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