高温多湿な状態が続くこの季節に急増するのが食中毒。「O157」に代表される食中毒の大半は細菌やウイルスによるものだが……普段、口にしている“身近な食べ物”にも毒性があることはあまり知られていない。
そこで、下痢やおう吐、皮膚の発疹など、「食べ方を間違えると食中毒になってしまう危険のある」食材を紹介したい。

①ジャガイモ
ジャガイモの芽や光があたって緑色になった部分には、天然毒素のソラニンやチャコニンが含まれている。これらを多く含むジャガイモを食すと、吐き気や下痢、おう吐、頭痛などの症状が出やすい。

【注意すること】
・暗くて涼しい場所に保管する。
・芽や緑色の部分だけでなく、その周りも丁寧に取り除く。
・小さく未熟なジャガイモを食べるのは避ける。

②青梅
熟していない梅にはアミグダリンという成分が含まれており、これが人間の体に入って分解されると青酸という毒を出す。青酸を摂取すると呼吸困難や目まい、けいれんなど人体に深刻な影響を与える。

【注意すること】
・生の梅は絶対に食べない(特に子供は危険)。
・熟していないものを食べる場合は、十分に火を通す。

③ギンナン
脳内の神経伝達物質の生成に重要な役割を担っているのがビタミンB6だが、ギンナンにはビタミンB6と構造の似た4’-メトキシピリドキシンが含まれている。大量に摂取すると、これがビタミンB6の働きを阻害してしまい、数時間のうちにビタミンB6欠乏症となり中毒を引き起こす。

【注意すること】
・解毒能力が発達していない小児(5才未満)には与えない。
・子供にはごく少量しか与えず、大人であっても大量摂取は避ける。

④トマト
トマトの未熟な果実や葉・茎には、害虫を寄せ付けないためにアルカロイドという毒性物質が含まれている。場合によっては腹痛や下痢などの症状を起こすこともあるため注意が必要。

【注意すること】
・まだ青いトマトは食べない。
・熟したトマトでも大量に摂取することは避ける。

⑤カカオ
チョコレートの原材料となるカカオにもテオブロミンというアルカロイドが含まれており、チョコレート独特のほろ苦さはこの物質によるもの。市販されているチョコレートに含まれる程度では人体に影響はないが、摂りすぎると中毒を起こすことも。

【注意すること】
・大量に摂取することを避ける。
・ペットには絶対与えない(小型犬で50g程度、中型犬でも400g程度で中毒を起こす)。

⑥ウナギの血
ウナギの血にはイクシオトキシンという毒素が含まれており、口に入れると呼吸困難や吐き気、傷口に付着すると皮膚炎、目に入ると結膜炎などの症状が出る。

【注意すること】
・釣ってきたウナギを自分で捌いて調理するときは注意する。
・ウナギを食べるときにはよく加熱する。

⑦白インゲン豆
レクチンという食中毒の原因になるタンパク質が豊富に含まれていて、十分に加熱すれば無毒化するが、加熱不足の状態で摂取すると激しい下痢やおう吐を引き起こす。

【注意すること】
・少なくとも沸騰した状態で10分間は加熱して食す。

⑧ワラビ
山菜のワラビには、プタキロサイドという発がん性物質が含まれている。ただし、熱湯でアク抜きすれば発がん性は消失してしまうので、しっかりと湯がくことが重要。

【注意すること】
・食べる際には必ずアク抜きをする。
・茹で汁は捨てる。

⑨ハチミツ
一般的なハチミツに毒性はないが、蜜源植物がツツジ科のものにはグラヤノトキシンという物質が含まれている。これを体内に摂取すると、目まい、血圧低下、おう吐などの中毒症状を起こすことがある。

【注意すること】
・これまでトルコ黒海沿岸産やネパールの高原地帯などで摂取されたハチミツで中毒例が報告されているので、産地には十分注意する。

リスクを避ける最善の手段は、食に関するしっかりとした知識を持つこと。いくら身近な食材といえども、細心の注意を払いたいものだ。

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